Interview

なぜ吉田正尚(オリックス)は強打と高コンタクトを両立できるのか?【後編】

2020.06.17

 打者にとって遠くへ飛ばすこととコンタクト率を高めることは誰だって両立したい。そんな高次元なことを実現しようとしているのが吉田正尚だ。吉田はどんな意識で日々の打撃練習に取り組んでいるのか、そして上達を目指す高校球児へメッセージをいただいた。

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一流スラッガーへの道 オリックス・吉田正尚(敦賀気比出身)の打撃調整法

NPBを代表するスラッガー・吉田正尚(オリックス)が実践する不調時の修正法と一流投手への対応策【前編】

コンタクトを強くすることが強打と確実性を両立する

なぜ吉田正尚(オリックス)は強打と高コンタクトを両立できるのか?【後編】 | 高校野球ドットコム
吉田正尚選手

――吉田選手といえば、遠くに飛ばすイメージもありますが、率もしっかり残されています。その辺の、遠くに飛ばすことを意識しつつ確実性も持つというのはどういう意識を持ってますか?

吉田 結構勘違いされがちなんですけれど、常にフルスイングしていると思われてるんですけれど、僕の場合はボールに対してしっかり「ライン」を合わせて、強くスイングするという感覚を持っています。
 それがフルスイングになってるのかもしれないですけれど、コンタクトを強くするというのがヒットゾーンに飛んでくれる。やっぱり打球は遅いよりも速い方が絶対いいので。ゴロで抜けていく可能性も高いですし、そういうところは考えてやっていますね。
 だからバッティング練習でも、打たせてくるボールに対してしっかり力を伝えていくということですね 。

――それが結果的に確実性に繋がっているということですね

吉田 そうですね。そこを丁寧に打つことによって、ヒットコースを増やせますし、ただがむしゃらに打つのもいいと思うんですけど、それだと自分の引き出しは増えないですし、対応力は高まらないと考えています。

――高校生は遠くに飛ばしたいと思ったらフルスイングして、結果的にそれがミスショットになったりすると思います。
そういう点に関して、吉田選手から高校生に向けて何か良い練習だったり、高校生だったらまずこれをやった方がいいよというのはありますか?

吉田 これはメンタル面になるかもしれないですけれど、まず実行してみないとわからないことはたくさんありますので、そこで、努力して気付くものがあると思います。

 何でも最初から決めつけてやるのは、あまり良くないのかなと思いますね。僕もこれは正解というのはわからないので。

 これは僕の考えなのですが、色んなことに挑戦して、試して、自分の中で選択する力を築いていく。自分の中でこれだというものを最初から決めつけてやるというよりは、色んな選手の話を聞いたりすることも必要だと思います。

 高校になるとどうしても指導者の考え方が一番になると思うんですけど、今なら携帯でも調べられますし何でも見られます。プロ野球選手の映像も見られますし、そういう時代だと思うので、そういうものも活用できれば、自分がこうなりたい目標像というのがあればいいと思っています。

[page_break:木製バットの対応方法と今シーズンの意気込み]

木製バットの対応方法と今シーズンの意気込み

なぜ吉田正尚(オリックス)は強打と高コンタクトを両立できるのか?【後編】 | 高校野球ドットコム
吉田正尚選手

――ちなみに高校時代はどんな考えでやっていたんですか?

吉田 やはり遠くに飛ばしたい、もっと打ちたいとかですね。でもそういう考えでいいと思うんです。
もっと打ちたい、もっと飛ばしたいという考えに持っていけばいいと思うので、「もっと打ちたいな」で終わるんじゃなくて、「打ちたいからじゃあどうするのか」という考え方に持っていけば、向上心を持ってトレーニングもやれると思います。
辛い練習も自分が上手くなりたいという気持ちがあれば、頑張れると思います。

 何の意味も無くて、ただやるというのは人間難しいと思うので、自分である程度目標を作って、そのために苦しいことを乗り越えていければいいかなと思います。高校生もやっぱりきついと思うので。

――高校の時の考え方と今と基本的なところは変わらないと?

吉田 やはり大前提に野球が好きですし、楽しいですし、でも辛いことが8割あって喜びが1、2割あるかなっていうふうに思います。その野球が今、職業に変わったというだけだと思います。

――また大学以上のステージでプレーしたい球児は木製バットで練習をしている選手もおりますが、大学時代、木製バットの対応みたいなところはどのような意識を持ちましたか?

吉田 結構、みんな痛がって振れなくなったりするのですが、まずはしっかり振ることが大事です。またみんな何で「金属打ち」になるかと言うと、結局「ドアスイング」なんですよね。遠心力で飛ばしていたと思いますが、

 木製バットは「テコの原理」のような感じなんですけれど、グリップは出るのですが、バットのヘッドが出てこずに(最後に)パチンと出てくると、木製バットでもしっかり使えます。
 金属だと、振ってどこかに当たれば飛ぶというか。木のバットの対応は、上手くバットのヘッドを効かせなければいけません。良い選手と悪い選手の違いはそこなのかなと思いますね。

 振り出しからバットの面が出て、ヘッドが出て振るのでは無くて、ギリギリまで引きつけて、ギリギリまでグリップで誘導するけど、最後にヘッドがバチンと出てくるという方が木製バットにも早く慣れるし 、上手く使いこなせる。そうすれば自然と率も上がってきます。

――今シーズンの目標を教えてください!

吉田 やはりここ2年は全試合(143試合)出場できていますので、今年は120試合になりますが、そこにこだわっていきたい。
 自分は1年目に怪我したからこそ、常にベストなコンディション二ングを出せる準備をしていきたいです。

 あと結果としては数字も出さないといけないので、キャリアハイ目指して、タイトル目指してやっていきたいなと思います。そうすれば、必然的にチームも良い位置にいると思うので、(チームを)引っ張っていけたらなと思います。

(記事=河嶋宗一

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吉田 正尚(敦賀気比ーオリックス)が語った「自分で見つけたスイングが一番強い」という言葉の意味とは?

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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