第1033回 なぜ奥川恭伸は超一流投手になったのか?それは高い次元を求めたマイナス思考にあった2019年10月01日

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【目次】
[1]智辯和歌山戦は自分の意図したボールを多く投げられた唯一の試合
[2]この先、やっていけるのかという不安と、思い知らされた履正社との決勝戦

 今年の高校生どころか、アマチュアでも1、2を争う評価をされる右腕・奥川 恭伸。毎年、高校生でも150キロを超えるストレートを投げて、なおかつ切れの良い変化球を投げる高校生は現れるが、その中でも奥川の完成度は抜きん出ている。試合展開、打者の力量に応じて自在にピッチングスタイルを変えられる強みがある。

 奥川の3年間の成長を見守ってきた林監督は「奥川の前にも140キロ後半を投げる投手は多くいましたが、奥川が何より凄いのは打者を見て観察できるということ。これは教えてできるものではない」と奥川の観察力の高さを評価する。リードする山瀬 慎之助も「あらゆるところが優れている奥川ですけど、一番は観察力だと思います」と語る。

 では奥川はこの夏の自身のピッチングについてどう総括したのか。プロで戦うであろう奥川に自身の課題を語ってもらった。


智辯和歌山戦は自分の意図したボールを多く投げられた唯一の試合



笑顔の奥川恭伸

 この夏の甲子園では、41.1回を投げ、51奪三振、5失点。決勝戦まで防御率0.00と圧巻のピッチングを繰り広げた奥川。奥川といえば、自己評価が厳しい投手として有名だ。甲子園の大会前も、世界大会前も調子が上がらず、かなり不安気味に語っていたことを思い出す。それでも結果を残してしまう奥川の調整力の高さには驚かされる。

 その中でも一番良かったと振り返るのが延長14回まで投げ切った智辯和歌山戦だった。ここからは奥川のピッチングの考えを一問一答形式で振り返っていきたい。

――いつも自己評価が厳しい奥川投手ですが、良いピッチングだといえるバロメータ(基準)は何でしょうか?

奥川 良いときは、ストレートの場合、ミットの音がきれいに「パチン、パチン」と鳴ります。変化球は打者が立って反応を見たとき、まっすぐが良いときは変化球も良いので、変化球をコントロールしやすい日は調子が良いと思います。

――以前、インタビューをさせていただいたとき、ボールに重みを感じるリリースができたときは好調な証拠だと伺いました。一番良かったと振り返る智辯和歌山戦では、その重みを感じるリリースはできたのでしょうか?

奥川 そうですね。あの試合は、甲子園全試合をトータルで振り返っても、そういう感覚が強かったと思います。

――そのようなリリースができているときは、自分の意図しやすいボールを投げられているのでしょうか?

奥川 ストレスなく投げられる感じですね。無理やり自分で抑えながらではなく、思い切り「パチン」と腕が振れるので、投げやすいです。

――そのような感覚は常に求めていますか?

奥川 その感覚がずっとあるのがベストですが、波みたいなのが必ずあるので、その波を小さくしたいと思っています。

――波を小さくするうえで、試合の中でも1イニング1イニングで修正していく感じでしょうか?

奥川 やることはやりますが、目に見える形で、変えたりというのはないかと思います。

――奥川投手のピッチングで印象的なのは、球数を少なく抑えている点だと思います。そこは意識していますか?

奥川 まず3球まで投げて、2ストライク0ボール、2ストライク1ボールにしたいといつも思っているので、それが球数を少なく抑えることにつながっているのかと思います。

――林監督と山瀬君は奥川投手について、打者を観察しながら勝負するのが上手いと評しています。打者を観察する習慣づけはいつから行っていましたか?

奥川 自分の中では特に意識していませんね。なんとなくできた感じです。

――となると、この打者はこのコースに投げれば抑えられるな、打たれるな、というのが分かる感じでしょうか?

奥川 分かる日もあります。甲子園では分かる日もあれば、分からない日もありました。全部分かっていれば抑えることができたと思いますので。

【次のページ】 この先、やっていけるのかという不安と、思い知らされた履正社との決勝戦

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プロフィール

奥川恭伸
奥川 恭伸(おくがわ・やすのぶ)
  • 星稜
  • ポジション:投手
  • タイプ:右投右打
  • 身長体重:183センチ84キロ
  •  
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