名門智辯和歌山で、高校野球史上9人しか達成していない偉業、5期連続甲子園に挑むプロ注目の天才打者・黒川 史陽選手。2年春にはその勝負強いバッティングでチームをセンバツ準優勝まで導いた。最上級生となってからはキャプテンを任され、プレーと言葉でチームを引っ張り、今年のセンバツではチームはベスト8に。
後編ではセンバツ後のU18の代表合宿で全国の一流選手と対戦した事で見えてきた新たな自分、そして高校野球最後の夏への熱い意気込みを語ってもらった。
◆甲子園優勝した父を超えるため、セカンドで上を目指したい 黒川史陽(智辯和歌山)【前編】
センバツ大会後におこなったフォーム改良

黒川史陽(智辯和歌山)
「アウトにならない打撃を一番に考えています」
打撃面で意識をしていることを尋ねた際、真っ先に返ってきた答えだ。
「今はトップバッターを任されることも多いので、とにかく出塁することがなにより大事。ボール球に手を出さず、甘い球をしっかりととらえ、アウトになりにくいライナーを打つことを強く心がけています」
バッティングフォームに関しては、センバツ大会後に改良を加えた。
「元々、インコースのストレートに詰まりやすい傾向があったのですが、センバツ大会後のU-18の合宿で速いボールを投げ込んでくる投手たちと対戦した際にインコースのまっすぐにことごとく差し込まれてしまって…。『自分は内角速球があまり得意じゃない』ということを強く思い知らされてしまったんです」
自身のフォーム動画を繰り返し分析し、指導者たちとの相談を重ねながら原因、対処法を探った。
「頭が投手方向に突っ込むクセがあったのですが、やはりここが無駄な動きであり、修正ポイントかなと。頭が突っ込まないよう、軸足である左足の上に体重をずっと置いておくイメージで打つようにしたところ、非常に感覚がよかった。
今、意識の上では軸足に100%の体重を乗せる極端なイメージでやってますが、頭のブレが減ったことで、甘い球を一回で仕留められる確率が上がりました。長くボールを見る感覚が生まれたことで、ボール球に手を出す割合も減り、テークバック時にバットのヘッドが投手方向に入り気味な点も自然に改善された。今までで一番ムダのない打ち方ができているんじゃないかと思います」