課題を見つけて、成長するスーパールーキー・森木大智(高知)【前編】
高知中(軟式)時代は、3年時にエースとして「第9回文部科学大臣杯全日本少年春季軟式野球大会」と「第40回全国中学校軟式野球大会」の春夏中学軟式野球連覇に大きく貢献すると共に、中学球児史上初の「150キロ」を計測。カテゴリーを超えた話題を集め4月から高知(高知)で研鑽を積む森木 大智(184センチ82キロ・右投右打)。
入学後も初対外試合となった4月13日(土)練習試合・八幡浜(愛媛)で最速144キロ・初打席初安打をマークし5月3日から愛媛県松山市の[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]で開催される春季四国大会でも背番号「20」で一次登録されるなど期待値は早くも高まっている。
そこで今回は練習試合初戦を終えた森木選手にインタビューを敢行。投打・技術論だけに留まらず高校生活の話など多岐に渡って話をうかがった。前編では練習試合初出場の感想と春季四国大会での意気込みを聞きます。
成長するため「試合で課題を見つける」
森木大智(高知)
―― まず、対外試合初出場を終えての率直な感想から教えてください。
森木 大智選手(以下、森木) 対外試合は(昨年9月)の高知県選抜(第11回全国中学生都道府県対抗野球大会)以来でした。前夜は少し緊張したんですが、試合では「せっかく1年生でチャンスを与えて頂いているので、楽しんで思い切っていこう」と考えられました。
(3回1安打1四球2奪三振無失点・最速144キロに)自己採点は60点。うまくいかないことは絶対にあると思っていましたし、試合で見つけた課題を修正していけばいいと思っています。
―― では、初登板の課題は自分ではどのように捉えていますか?
森木 7~8割の力で投げましたがインステップが出た部分がありますし、指のかかりもよくなかったです。(登板初回の)7回表が一番いい感覚でしたが、もっとリラックスして投げればよかったです。
―― その7回表は2アウト目はストレート、3アウト目はスライダーで三振も奪いました
森木 あのスライダーが一番よかったと思います。
―― 残り2イニングは変化球を多く使っていました。
森木 変化球を使いながら最終的にストレートで勝負しようと思っていました。自分の武器はストレートですから。9回表一死一・二塁(2球目118キロカーブで併殺に仕留めた)の場面でも高知中でもバッテリーを組んで慣れている吉岡(七斗・1年)に変わって、サインを合わせた中でたまたま出た結果です。
試合後には「お互いグダグダで慣れていなかったね」という話をしました。
―― 八幡浜戦の打撃・守備面についてもうかがいます。打撃では第1試合で初球を中前打。第2試合では3番中堅手で5打数2安打1打点。最終回には遊撃手にも入りました。
森木 1打席目は「どんなボールでもストライクゾーンに来たら思い切り振ろう」と思った結果ですが、打席を重ねるごとに少しずつ慣れてきました。八幡浜戦ではバットの先に当たる場面が多かったので、もっとゆっくり見極めて振っていきたいと思います。
守備ではこの時期は外野中心でやっていますが(高知中でやっていた)遊撃手の方が守りやすいです。ただ、外野手も打球への入り方やポジショニングをもっと覚えて少しずつでも成長したいですね。
「たくさん経験を積んで活かしたい」春季四国大会
コーンを使ってアップをする森木大智(高知)
―― 5月3日からは春季四国大会も始まります。森木選手にとって最初のハードルはそのメンバー20名に入って登板することだと思いますが……。
森木 メンバーに入って四国のレベルを見たいですし、センバツに出場したチームと対戦して試してみたい。たくさん経験を積んで活かしていきたいです。
―― もし登板すれば球速にも注目が集まると思います。佐々木 朗希投手(大船渡<岩手>3年)が出した163キロに対し、新たなモチベーションは生まれていますか?
森木 先輩たちからもその話を振られるんですが……。自分は高校での目標を「165キロ」に置いていますが、佐々木さんがそこに近い数字を2年上とはいえ出したことは意識しますね。
佐々木さんと僕は学年が違いますし、いつかは出したいと思いますが、ちょっとずつそこに近づいていければ。焦ってはいないです。
―― ちなみに春季四国大会の会場は軟式球とはいえ高知中3年時に150キロを出した坊っちゃんスタジアムです。
森木 坊っちゃんスタジアムで150キロを出したので、もしマウンドに立てればそこを上回るものを出したいですね。
「初登板の評価は100点中64点。よく見積もって78点。セットからボール球が増えたし、肩ひじに負担がかからないようにもっと体重移動の練習をしていかないといけない」
試合後、3回1安打1四球無失点にもかかわらず高知・濵口 佳久監督は森木に合格点を与えなかった。ただ、それも目先の結果だけを求めないゆえの要求。令和最初の高校野球大会となる春季四国大会でも森木 大智は「その先」を見据えて、向上の日々を過ごす。
後編では高校生活など、グラウンド外での話にもクローズアップ。島田 達二・侍ジャパンU-18代表分析担当コーチからの「こぼれ話」にも触れていきます。お楽しみに!
文=寺下 友徳