センバツで150キロ出したい!夏の甲子園へ監督を連れていく岩本大地(石岡一)の覚悟【後編】
地元の公立校石岡一に進学を果たした岩本大地君は、「ストレートには自信がある」という言葉通り、最速147キロを示すまでの速球投手に成長した。しかし、試合を経験していきながら「力でぐいぐいといくだけでは抑えきれない」ということも認識し始めた。
彼は果たしてどのように自分の強みを生かして次のステップへとつなげたのか。彼自身のテーマと具体的な課題克服法を伺った。
地元の公立校で強豪私学を自分の手で倒したい!岩本大地(石岡一)【前編】
変化球の精度を磨き強豪私学から白星を挙げる
2年生の春、日立一戦での岩本大地(石岡一)
前編でも書いた通り、岩本大地君は「ストレートに頼り過ぎないピッチング」を目標とし、スライダーを磨いていくことを自分のテーマとしていった。具体的には、ヨコの変化とタテの変化のスライダーを投げ分けていくことを意識している。さらに、それぞれのスライダーも大きく曲がっていく球と微妙に小さく鋭く曲がる球を投げ分けていくという変化球の精度を磨いていくことに努めている。
球種的には、ツーシームやスプリットということになるのであろうが、メジャーで言うところのムービングファストボールに近い球筋と言っていいであろう。
その成果としては、「変化球を覚えたことでさらに投球が面白くなった」ということを実感するようになった。
「相手がストレートだと思って振ってきたところで、球が変化して空振りを取れたときは楽しい」
投球を楽しんでいくという気持ちはさらに増していった。
岩本大地(石岡一)
捕手の中山颯太君が下級生ということもあって、投球の組み立てもある程度は自分で作っていくというスタイルである。
「自分は、2年生の時は上級生の捕手だったし、今度は下級生の捕手で、たまたまなんでしょうけれども、同学年の捕手と組んだことはないんですよ」
そう言って苦笑するが、自分で組み立てを考えていくことで投球の幅が広がってきたとも言えよう。とは言うものの、「ブルペンで投げているときから、捕手とはコミュニケーションをとるようにしています」と、意思の疎通は十分に出来ているようだ。
事実、秋季県大会では、準決勝敗退という結果そのものには自分では満足してはいないものの自分としては、「ストレートに頼り過ぎない投球は出来た」という実感はあった。
その結果として明秀日立や土浦日大といった、甲子園出場実績のある私学の強豪校に勝つことが出来たことは自信につながっていった。
センバツは過程!目指すは夏の甲子園での勝利!
試合で雄たけびを上げる岩本大地(石岡一)
一方で「コントロールやスタミナ面での課題も見つかったので、そのことはよかったと思う」と言うように実戦を通じて成長している。
課題克服への練習としてこだわっていることは何だろうかと尋ねてみた。
「ストレートのスピードと質を上げていくこと。コントロールの向上」と迷わず答えが返ってきた。
そして、そのためには「キャッチボールから意識してやっています」と、あくまでも基本から入っていくという姿勢である。
また、下半身強化のトレーニングとしては、さまざまなバージョンの走り込みに努めた。
具体的には短距離ダッシュの繰り返し、200m走10セット、300m走8セット、5km走というように、1週間の中で曜日ごとにメニューを変えるという形で変化を持たせながら取り組んできた。
さらには、自主的に行っている上位とトレーニングではスクワットやベンチプレスなどをトレーナーなどと相談しながら取り組んできた。
岩本大地(石岡一)
本番まで1カ月を切ってきたことで、春の甲子園が具体化してきたという実感もある。
「センバツでは、チームが勝つことを一番の目標としたいです」と、チームファーストを掲げつつ、
「個人的には、[stadium]甲子園[/stadium]で150キロを出したいです」「将来的には155キロが目標です」
目標設定は目前に迫ってきたセンバツに置きながらも、さらなる上を目指して目を輝かしている。そして、自身の高校野球選手としての目標としてはぶれていない。
「春は21世紀枠代表で甲子園を勝ち取ったというよりは、行かせてもらったという感じが強いと思っています。それだけに、夏の大会では、しっかりと勝ち上がって、川井先生を甲子園に連れていきたいと思っています」
センバツの先にも、目標をしっかりと見据えている。
文=手束 仁