Interview

背中で引っ張る「不言実行」の主将力 中川壱生(九州国際大付)

2019.03.05

 福岡県の高校野球を牽引し続ける九州国際大付。そんな名門野球部の、今年の主将を任されているのが中川壱生だ。堅実な守備と確実性の高い打撃もさることながら、西武ライオンズでスカウトや編成部長を務めた楠城徹監督も認める、力強いリーダーシップが中川の大きな魅力だ。
 今回は、そんな中川にインタビューを行い、甲子園を逃した秋季九州地区大会から得たもの、そして最後の夏に向けた取り組みについて迫っていく。

人が嫌がることを率先して行い背中で引っ張る

背中で引っ張る「不言実行」の主将力 中川壱生(九州国際大付) | 高校野球ドットコム
中川壱生(九州国際大付)

 中学時代は福岡ボーイズに所属し、3年時にはジャイアンツカップで準優勝も経験した中川壱生。現在と同じく3番、遊撃手を任されており、当時は強肩を活かして投手としても活躍を見せていた。

 「自分たちも、正直あそこまで勝ち上がれるとは思っていませんでした。1試合ずつ、成長しながら戦えたのかなと思います」

 中川の大きな魅力と言えば、楠城徹監督も信頼を寄せる程の強力なリーダーシップであるが、実は中学時代にも中川は主将を務めていた。福岡ボーイズ時代からのチームメイトである葛城陸は、当時から中川のリーダーシップはとても頼もしいものであったと話す。

 「キャプテンが頼もしかったので、みんな中川について行っていました。その中で、強い相手と戦いながらレベルアップしたのだと思います」

背中で引っ張る「不言実行」の主将力 中川壱生(九州国際大付) | 高校野球ドットコム
打撃練習の準備を行う中川壱生(九州国際大付)

 福岡ボーイズ時代に続いて、九州国際大付でも主将を任される中川だが、意外にも口数はそれほど多いわけでは無く、練習中も際立って声を常に張り上げている訳ではない。どちらかと言えば、自らが率先して動いていく「不言実行タイプ」のリーダーで、中川がまず行動で示すことで、それがチーム内に大きな影響を与えているように感じられる。

 実際に、中川に主将としてどのようなことを意識して練習や試合に望んでいるか尋ねると、中川自身も言葉よりも行動で存在感を示していきたいことを強調する。

 「まずは人が嫌がることを率先してやることを意識しています。練習でもそうですが、背中で引っ張っていくことが出来れば良いなと思って毎日やっています」

 「背中で引っ張る」
 言うは易しだが、行うは難しである。それを実践できているところが、中川のリーダーとしての才覚であるのだ。

[page_break:あとはプレーで引っ張れる選手になって欲しい]

あとはプレーで引っ張れる選手になって欲しい

背中で引っ張る「不言実行」の主将力 中川壱生(九州国際大付) | 高校野球ドットコム
ティーバッティングを行う中川壱生(九州国際大付)

 そんな中川も、昨年主将として大きな困難に直面した。選抜甲子園を目指した秋季大会は、九州地区大会の1回戦で日章学園に5対7で惜敗。満塁のチャンスが3回もあったが、そのチャンスをいずれも活かすことが出来ず、大きな悔しさを抱えての敗退となった。
 中川は、日章学園戦での敗退から、チームの課題に精神的な弱さを挙げた。

 「チャンスで1本で出ずに、(エースの)下村を楽に投げさせてあげることが出来ませんでした。チャンスをピンチと思ってしまっている選手がいたと思います」

 大会後は、ミーティングにも熱が入るようになった。練習後の夜に、ミーティングを行うことも多い九州国際大付は、日頃の練習から夏の大会を強く意識しながら取り組むことを話し合っていると中川は話す。

背中で引っ張る「不言実行」の主将力 中川壱生(九州国際大付) | 高校野球ドットコム
ノックを受ける中川壱生(九州国際大付)

 「選抜は甲子園に出場する大きなチャンスだったので、何としても行きたかったのですが、2年生はもう夏しかチャンスがありません。1日悔いが無いようにということを、自分はミーティングで毎日言うようにしています」

 また、主将としてチームの士気を高め続ける中川であるが、楠城監督はそんな中川に対してさらに高いハードルを求めている。これまで秀でたリーダーシップでチームを牽引してきた中川であるが、主将としてだけで無く、一人の選手としてもチームを牽引することを求めているのだ。

 「チームをまとめるリーダーシップは、特別なものがあります。監督に就任して今年で5年目になりますが、主将としては今まで見てきた中で一番です。
 あとはプレーで引っ張れる選手になって欲しいと思ってます。三番を打っていますが、体が小さい分パワーや技術をよりレベルアップして欲しいですね」

 求めるものの大きさは、期待の表れと言っていい。主将として、選手として、中川が一回り大きくなったとき、九州国際大付は3年ぶりの夏の甲子園へ進むことになるだろう。

文=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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