園部 佳太(いわき光洋)「自慢のスイングスピードで通算48本塁打!次のステージでも成り上がる!」
ドラフトまであともうすぐ。今年の高校生野手の中で、貴重な強打のショートストップとして注目されるのが高校通算48本塁打を誇る園部 佳太(いわき光洋)だ。なんとそのうち20本以上が、3年生になって量産したものである。今回は園部の成長の歩みを追った。
高校第1号はバックスクリーン弾!
園部 佳太(いわき光洋)
園部のボールの触れ合いは小学校1年生から。6年生までソフトボールをやっていた園部。当時からポジションはショートだった。そしてソフトボールが終わった小6の冬から中1の夏まではリトルリーグに所属。豊間中では全国大会を狙いセレクションを毎年行う「いわき松風クラブ」の選考に合格し、実力を磨いた。のという福島県選抜の中学軟式野球チームに所属し、練習に励んだ。
そして高校選択をする中学3年生、兄がプレーしていた東日本国際大昌平に進学することを決意。最終的にはいわき光洋に入ることを決意する。
高校から硬式に代わったが、すんなりと適応できたのは、小学校に経験していたソフトボール経験が生きている。
「硬式になってもそんなにバウンドが変わらなかったので、そこはソフトボールをやっていてよかった点だと思います」
そして園部は入学して1か月後の練習試合・日大東北戦。東日本国際大昌平グラウンドのバックスクリーンに高校第1号の本塁打を記録。しかもそのグラウンドは中堅122メートルもある広いグラウンド。いきなりポテンシャルの高さを見せたが、その後は調子を崩し、夏ではベンチ入りはできなかった。
しかし同年秋にはレギュラーを獲得すると、県大会準決勝・聖光学院戦で、左腕・鈴木拓人から公式戦初本塁打となる左越えの3ラン本塁打を放つ。
「打ったのはスライダー。率直にいって気持ちよかったです」と笑顔を見せた園部。ここから園部は県内屈指のスラッガーとして評判を高めていく。まず最初の冬は、1日1000スイングを課し、振る力を鍛えていった。
冬が明け、2年夏の初戦・会津戦で本塁打をマーク。しかしチームは負けてしまい、初戦でいわき光洋は姿を消すことになった。
2年秋からは主将に就任。小学校、中学校と今まで主将の経験がなかった。それでも自分がやるつもりだった。
「自分しかいないと思っていました。チームメイトを引っ張ることに関してはそんなに不安はなかったです」とその当時の思いを明かした。チームは県大会で準々決勝に進出し、学法石川には敗れたものの、園部は同じくプロ志望届けを提出した尾形崇斗に対し、4打数2安打を記録し、手ごたえを感じていた。
ラストサマーへ向けて大胆な打撃改造
そして2度目の冬。園部はバッティングの見直しを図った。
狙いは構え、動作の無駄を省くことだ。園部はコーチからの指導を仰ぎながら、構えやテイクバック、足の歩幅から立つ位置まで全部を変え、さらに元から言われていたバットの角度の癖も直していった。
「癖を直すのは大変だったんですけど、そこは振って体に染み込ませました」
どう直したのかは、本人に語ってもらった方が分かりやすいだろう。映像を交えてどう直したのか、見ていただきたい。
ただこれ以上に大変だったこと、それは「スイングスピード」をあげることだった。
「癖は日に日に直ったんですけど、スイングスピードは振らないと変わらないので」
フォームの見直しとスイングの数を重ねることに注力を置いた園部。冬が明け、園部は大きく進化していた。1、2年生で20本塁打だったが、春先からはホームランを量産。
「打った瞬間、ポンポンとスタンドに打球が入っていくイメージがありました」と振り返った。その中でベストホームランは?と尋ねると「春のいわき支部予選決勝で東日本国際大昌平戦ですね。勝ち越し2ランが一番印象的です」
そのホームランは、両翼100メートルもある広いいわきグリーンスタジアムのレフト上段につきささる一発だった。そして園部は県大会準決勝の福島東戦、決勝の聖光学院戦でも本塁打を放ち、強打のショートという評判を引っ提げ、東北大会に出場を決める。
東北大会期間中、守備面の送球で苦しんだが、そこは、送球練習を多くこなしながら、修正を努めてきた。
[page_break:聖光学院に敗れたも一矢報いる一打は打てた]聖光学院に敗れたも一矢報いる一打は打てた
園部 佳太(いわき光洋)
そして迎えた最後の夏。決勝まで進んだいわき光洋。相手は春の決勝で敗れ、夏10連覇中の聖光学院と対戦した。
決勝で園部は8回、1点ビハインドの場面で右中間に適時二塁打を放ち同点に持ち込む一打を打った。
「四球でもいいというのが感じられ、ボール気味で構えていたのですけど、甘く入ってきましたが、打てるなと思って打ちました」
10連覇中の聖光学院を追い詰めたが、最後は聖光学院がサヨナラ勝利。園部の夏が終わった。
「もうちょっと力は出せたかなと今は思います。ホームラン打てなかったことは悔しかったですけど、打率5割も打てたですし、大事な場面で打てたので、夏は良い結果が残せたと思います」と話した園部。高校通算48本塁打、最後の夏は打率5割という素晴らしい結果を残した園部は入学の時点から決めていた高卒プロ入りを決意。
園部は9月13日にプロ志望届を提出。走り込みや技術向上へ向けて日々、練習に励んでいる。
「木のバットは苦ではないですし、長打も打てています」と話す園部。ドラフトが近づいているが、緊張はしているものの、楽しみの部分の方が大きい。
同世代にはいい野手が多い今年のドラフト。しかし「同世代は気にしていません。清宮、中村、増田は甲子園にも出ていますし、プロ入りは確実だと思うので。でももし自分がプロに入れたらあとは自分の努力次第だと思うので、別に負けないという気持ちです」
プロでも狙う選手像は決まっている。
「単打、単打でチャンスを作れる選手になりたい。それでも自分の持ち味である強く振ること。それだけはこだわっていきたいです」
型にはまるつもりはない。
今年、数少ない強打のショート。自慢のスイングスピードを武器になりあがって見せる。
(インタビュー/文・河嶋 宗一)