福岡ソフトバンクホークス 今宮 健太選手
高い身体能力を生かした広い守備範囲と、甲子園で投手としても活躍した右肩から放たれる抜群のスローイングで2013年、自身初となるゴールデングラブ賞を獲得した福岡ソフトバンクホークスの今宮 健太選手。課題とされていた打撃でも、二番に定着した昨シーズン8月、月間打率.362をマークするなど活躍を見せました。チームに欠かせない選手として今季も大きく期待されています。春季キャンプでは攻守のレベルアップに厳しいトレーニングに明け暮れ、送球技術を磨くためにブルペンで投球練習に入ることもありました。
貪欲にさまざまな練習に取り組む今宮選手に、守備の極意と打撃への意気込みを伺ってきました。
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練習で大事にした基本こそ、試合の中で活きてくる
――2013年のシーズン、結果を残した要因について自分の中でどう分析していますか?
福岡ソフトバンクホークス 今宮 健太選手
今宮 健太選手(以下「今宮」) 自分の中で結果を残したっていう思いはないですね。一年間怪我なく良くやれたなというふうにしか思っていないんで。まだ試合に出させてもらっているっていう感覚が強いですね。
――今回、ゴールデングラブ賞を受賞されましたが、プロに入ってから、守備への意識というのは変わった部分はあるのでしょうか?
今宮 練習に対する態度というか姿勢というか、一球に対する気持ちっていうのは変わったなと思います。練習ための練習じゃなくて、試合のための練習っていう意識ですね。
一つのエラーもしちゃいけないと思って練習をしています。もちろんその中でエラーはありますけど、でも練習の中で思い切って練習をするっていうのが自分の中では変わったところじゃないかなと思います。
――なるほどですね。そんな今宮選手が考える守備が上達するためのオススメの練習メニューはありますか?
今宮 僕は、大切なのはノックを受ける数だと考えています。やっぱり何より基本が一番大事になってくると思います。基本が出来て応用ができると思うので。基本が出来なくて応用っていうのはなかなか難しいと思うんです。
高校の時は基本というよりも適当に取ってアウトにすればいいとか思っていましたけど、やっぱり練習の時こそ基本が大事なんですね。試合になればどんな打球がくるか分からないので、そこで今まで練習していた基本というのが活きてくると思います。
――今宮選手自身の守備における基本のチェックポイントは、何かありますか?
今宮 (守備への)入り方もそうですし、グラブの出し方とか取り方とか、いろいろありますね。
自分がダメだったなと思うのは、取った後に右側にボールが逸れること。これはNGだと思っています。
右側に逸れてしまうということは、ボールを取ってからグラブを動かしているというか、自分の体の外に出してしまっているからだと思うんですよ。これをちゃんと体の中に持っていければ、中心に収まると思うんです。だから取ったボールが体の外に出るときは、今の守備はダメだったなというようには思っています。
集中することが広い守備範囲を生み出す
福岡ソフトバンクホークス 今宮 健太選手
――守備範囲を広げるために大事なことはなんでしょうか。
今宮 一歩目ですね。一歩目を早くするには集中力が一番大事だと思います。ピッチャーが投げる一球一球に集中する、というのはすごく難しいことですが、集中できるように意識していますね。
――それだけでもプレーは変わってきますか?
今宮 違うと思います。全く集中していなくて、ポンと打球が来たら動くのか、集中していて瞬間に動けるのかというので、全く違うと思います。本当に何センチかだけで、取れる球と取れない球っていうのはありますしね。
プロに入ってからは特に、全部集中するっていうことに関してはすごく意識を持ってやっていますね。
――では、野球用具を選ぶ時は、どんなポイントを大切にして選んでいるのでしょうか?
今宮 スパイクに関しては、とにかく動きやすさです。軽さもいいと思いますし、フィット感とかも好きずきがあると思います。僕はやっぱり、足が固定されているものを選びますね。下が固定されなければ怪我に繋がることも多いですし、内野手はほぼ横の動きですから。そういった面では、スパイクに気を配らなければいけないかなと思います。
――今年使用するスパイクはどういったところに気を配りましたか?
今宮 そうですね、今年はミズノのスパイクを履いていますが、どうしても横の動きが多い分、フィットというか締め付け感というのが自分の中でちょっと足りなかったので、そこを出してもらうために要望を出しました。
――最近は高性能のギアも登場していますが、今宮選手のギアのこだわりはありますか?
今宮 高校時代の時は、タートルネック着てましたけど、今はミドルネックの長さのギアを着ています。こだわりとしては、僕はピタピタした引き締められるギアを選んで着ていますね。
あまりゴワゴワしていると違和感があって投げにくいんですよね。だから僕は、ピタッとしていたほうが、皮膚と一緒になっている感じがして好きです。
――グラブの選び方はどうでしょうか。大きさや柔らかさにこだわりはありますか。
今宮 グラブに求めるのは、どんなところでも取れることです。自分は元々小さめのグラブですけど、土手でも、別の場所でも取れるグラブがいいです。
それと、色んな形になるグラブっていうのが自分の中で理想です。柔らかいだけじゃだめですけど、しっかりしていて、どんな形にもなる、どんなところでも取れるというグラブが自分の中で一番ですね。
打撃は「形」を作り、戻れるところを作っておく
福岡ソフトバンクホークス 今宮 健太選手
――それでは、今後の課題と昨シーズンの収穫を教えてください。
今宮 課題は打つ方だと思います。自分の打つ形、フォーム、その他色々。
打つ形っていうのは一番大事になってくると思います。打てなくなった時に、形っていうものさえできていれば、一回ここに戻ってみよう、と初心に戻りやすいですし。去年に関してはそれがなかった分、どこに戻ったらいいか分からなかった。その中で、これやってみよう、あれやってみようとなると、なおさら悪くなりますし。やっぱり形をしっかり作っていかないといけないなっていうのはひとつ思います。
――守備と同じですね。
今宮 そうですね。形ができないとダメになった時にどこに戻ったらいいんだろうってなると思いますし。長谷川さん(福岡ソフトバンクホークス・長谷川勇也外野手)とか、うちのチームの先輩方は、やっぱり形がある分ちょっと落ちた時に『ここからやってみよう』『ここに戻ったらいいんだよな』っていうのがあると思うんですよね。そういうのを作り上げたいなと思います。
収穫としては試合にたくさん出られて色んな経験が出来たことです。4位という相当悔しい経験などもしました。さまざまな経験ができた、そしてゴールデングラブ賞が取れた、いい一年だったなと思っています。
――高校当時からホームランを数多く打っていましたが、将来はどんなバッターになりたいですか?
今宮 高校通算62本塁打でしたが、昨年は62犠打だったので、62という数字に縁を感じています(笑)。バッターの理想としては、井端さん(読売ジャイアンツ・井端弘和内野手)のようなバッターになっていきたいなと思っています。
守備では基本が大事。わかっているけど…という球児の皆さんも多いと思いますが、ゴールデングラブ賞を獲得し、プロで成績を残す今宮選手に改めて、その言葉を言われると、やはり説得力がありますね。
今宮選手、貴重なお話ありがとうございました!