ラストサマーらしく、熱のこもった熱戦

9回表の攻撃。二死後に打席に立った神戸弘陵の5番魚森章太(3年)が空振り三振に倒れると、石原康司監督は静かにその時を受け入れた。
「コーチ、監督を合わせて約30年、最後に良い投手と対戦して終われたので、それは良かったと思っています」

長らく歩いてきた指導者としての道を、この試合をもって終えることになった石原監督。
複雑な思いはあるだろうが、その花道にふさわしいピッチングを相手の報徳学園エース・田村 伊知郎(3年)は披露してくれていた。

1回こそ、2四球で自らピンチを招くも後続を断ち、回を重ねるごとに自分らしさを取り戻していく。
「今日は腕をしっかり振ることを心掛けてきました。でも、初回は制球に気を遣いすぎて腕を振れていなかったです。そんな中でも、早いカウントから勝負できたし、自分のピッチングは出来たと思います」と田村は振り返る。

9回を投げ、打球が外野に飛んだのはわずか5球。高低をしっかり突ける絶妙なコントロールに「予想以上の出来だった」と石原監督も舌を巻いた。