福島県民の心ひとつに……相双連合の夏

 35度を超える炎天下の福島県・鶴沼球場。「相双」と書かれた真新しい帽子にバラバラのユニフォーム姿の選手が17名集まった。福島第1原発事故の影響で立ち入り禁止の警戒区域に校舎があり、転校が相次ぐなどして部員が減少した双葉翔陽高、富岡高、相馬農業高の3校による相双連合チームである。
 3校の部員数は双葉翔陽高校14名、富岡高1名、相馬農業高2名となっている。今回の大震災を受けて、高野連は学校の統廃合に限定していた連合チームの大会参加を特別措置として認めたのであった。相双連合は約2カ月、計7回と少ないながらも県内の原発から離れた球場やグランドを借りて練習を重ねてきた。そして14日、原発に苦しむ全ての福島県民に希望の光を与えようと大会に挑む相双連合の初戦が幕を開けた。

 先発のマウンドに登ったのは3年生の林優太郎。双葉翔陽高では主に外野手として練習に励んできた林だが、今回の震災でエースの新田心一郎が千葉の高校に転校せざるを得なくなり、中学で投手経験がある林が連合チームでエースに抜擢されたのであった。林の背負う背番号1の重さはひとしおだ。

 しかし、試合での登板経験が少なく制球の定まらない林を喜多方打線が初回から襲う。味方のエラーなども絡み、初回から3点を許してしまった。そしてその後も喜多方の勢いは止まらず、スコアボードには毎回得点が刻まれていった。苦しい試合展開。しかし林は5回7回を無得点に抑えるなど、後半に調子を上げマウンドを一人で守り抜いた。「いつもおとなしい優太郎が、すごく大きく立派に見えた」と、両親が涙を流して見つめていた。

 一方喜多方のピッチャーは左腕の須藤徳仁。2年生ながら直球にはキレがあり、テンポよく球を放る。そんな須藤に対し相双連合は高めのストレートやスライダーに手がでてしまう。ピッチャーが5回から小野沢に代わりフォアボールでランナーを出すもヒットを打つことができず、6回までを無安打無得点に抑えられてしまった。

 7回表が終わり、スコアは8ー0。相双連合に2点以上の得点が入らない限り試合は大会規定によりコールドゲーム、試合終了となってしまう。3塁側スタンドからは今日1番の大きな声援が飛び交う。