運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、真っ直ぐ立つ(3)
運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、真っ直ぐ立つ(3)2011年10月10日
秋季大会の県大会が終わったところもあり、選抜甲子園出場を懸けた地区大会が各地で始まろうとしています。新チームとなり間もなく始まる秋季大会。チーム力と言うよりは、やはりどうしても投手力が高いチームが勝ちあがるのが秋季大会の特徴でしょうか。投手力を上げるためにはやはりしっかりとした投球フォームを身につけることが重要となります。是非、今回のコラムの内容も身に付けて頂きたいと思います。
真っ直ぐ立つにはどうしなければならないかと言う話が続いておりますが、今回はアマチュア選手に多い、軸足の向きについてまずは説明させて頂きます。
キャッチボールのときに皆さんは軸足の向きをしっかりチェックして投げていますか?グラウンドで選手のキャッチボールを見ているとこの軸足の向きが正しい向きに向いていない選手が数多くいます。高校野球でも見られる光景ですので是非注意して下さい。
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※詳しい解説イメージはPCからご覧ください。
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【写真①】 |
【写真②】 |
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写真1がよく見られる正しくない軸足の向きです。軸足はまずしっかりと投げる方向に対して直角に向けることが基本となります。写真2が正しい軸足の向きとなります。
軸足が写真1のような状態で投げるといわゆる『体の開き』が早くなる原因になります。軸足の向きに対して骨盤も同じ方向に向きますので、投球方向に正対せず開いた状態となるのです。
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【写真③】 |
【写真④】 |
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これはキャッチボールの時のみならず、野手の送球でも同じことが言えます。捕球から送球まで余裕があり、しっかりとした形で送球する場合は軸足を必ず送球方向に対して直角に向けることが重要となります(写真3)。よく『地肩が強い』などと言いますが、サードの三塁線からの送球、ショートの三遊間からの送球、セカンドの二遊間からの送球など、速いボールを送球する必要がある場合は、このような軸足の向きができていないと速いボールは投げられません。決して上半身だけの問題ではないのです。
さあ、これまで膝の高さ、股関節の回旋、軸足の向きと、真っ直ぐ立つ時点での注意点を紹介させて頂きましたが、今回はフィジカルチェックについて紹介させて頂きます。
膝をもっと高く上げて投げたい、という選手もいることでしょう。そういう選手はどのようなことをすればいいのか?まずは股関節がしっかり曲がるかと言うチェックをしなければなりません。皆さんも是非チェックしてみて下さい。
写真4のように股関節を曲げて、太ももを胸に近づけます。(この柔軟性のチェックは仰向けに寝て行なっても構いません。)そして太ももの先端と胸の間に指が何本入るかチェックを行なって下さい。今まで私がチェックさせて頂いてきた選手たちをみていると、指が3本以内であれば柔軟性には問題ないと判断しています。
このチェックをどう投球動作に活かすかと言うと、この柔軟性以上に膝を高く上げることはできない、ということです。いくら筋力があったとしても柔軟性がなければ膝を高く上げることはできません。だから膝を高く上げて投球したい選手は、この柔軟性を上げなければ自分の理想のフォームでは投げることはできないのです。
ストレッチは写真4をそのまま行って下さい。立ったままでもいいですし、仰向けに寝てからでも構いません。痛みのない範囲で20秒~30秒間、1日何回でも構いませんからしっかりとストレッチを行いましょう。
この股関節の柔軟性は後に説明させて頂きます、フォロースルーにおいても必要な柔軟性になりますので、しっかり日々のコンディショニング管理として行なって下さい!!!
(文・久保田 正一)