九州勢の熱い戦いに期待
いきなり九州勢対決が実現した。大会4日目第1試合に、熊本工と長崎商が初戦で対戦することが決まった。第103回全国高等学校野球選手権が2年ぶりに開催されるが、近県同士の対戦は、ファンにとっては楽しみなカードになる。特に九州のファンにとっては古豪ともいえる2チームの戦いから目が離せないだろう。
長崎商を率いるのは西口博之監督。60歳。今年の九州勢で甲子園に出場する指揮官の中では最高齢だ。母校を含め30年以上にもわたる球児への長年の指導者歴が評価され、今年6月に「育成功労賞」を夏の長崎大会開会式後に受賞した。対する熊本工の田島圭介監督は40歳。母校を率いて2大会連続(昨年はコロナで大会中止)の甲子園出場を導いた。「熊工」の連覇は3連覇した06年以来、15年ぶり。古豪復活のキーマンにもなっている。その田島監督と同世代で、これから九州高校野球界をリードしていく存在として期待される2人がいる。
「明豊・川崎&沖縄尚学・比嘉」時代の到来?

川崎絢平監督(明豊)
今センバツで惜しくも東海大相模に惜敗し準優勝に終わった明豊を率いる川崎絢平監督(39)と、沖縄尚学投手としてセンバツで優勝、母校を率いて監督としてもセンバツで優勝した比嘉公也監督(40)。川崎監督は智辯和歌山時代に夏の大会で優勝の経験もある。ともに、「名将」の教えのもと、指導者として研鑽し、チーム作りを図ってきた。
川崎監督は智辯和歌山のレジェンドでもある高嶋仁氏のもと、勝負の厳しさ、私生活の重要さ、人を育てることの大事さを教えてもらったという。ここ数年は全国優勝を実現してもおかしくないほどの戦力を誇り、全国から選手が集まる土壌ができている。
「明豊には地元ではない選手も多いですが、彼らは覚悟をもってきている。野球しかないという気概で学校にきている。その気持ちはグラウンドに表れ、やがて地元の選手への刺激になる。地元の選手だけで強くなるのもいいが、個人的にはそういう外から入っている選手の刺激もチーム強化につながると思っています」
川崎監督の持論である。初戦の相手は打撃が売りの専大松戸となった。

比嘉公也監督(沖縄尚学)
沖縄尚学・比嘉監督は、現役時代は金城孝夫監督のもと、99年センバツV左腕となった。金城監督は弥富から沖縄尚学へと移り、センバツV後は長崎日大で指揮を執った。甲子園にも出場し、今や日本球界を代表する存在になった広島・大瀬良 大地を育てた。投手を育てることには実績があり、今も弥富から校名変更となった愛知黎明の監督を務めている。比嘉監督は、高校卒業後は愛知学院大に進学し指導者の勉強をして母校の監督に就任。ソフトバンク・東浜巨を率いてセンバツの頂点にも立った。
「沖縄の子は沖縄からでないとダメなんです。特に島の外に出たがらない性格の子が多いので、どうしても甘えがある。外の環境を知らないと精神的に強くならない」
比嘉監督の持論だ。初戦は徳島の古豪、阿南光と対戦する。