第263回 投球前のウォームアップ2021年02月15日

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【目次】
[1]ウォームアップの目的と流れ/投球前に必要なコンディショニングとは
[2]投球前のコンディショニング


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 少しずつ日中の時間も長くなり、寒いながらも皆さんそれぞれのチームで練習に励んでいることと思います。シーズン間近とはいえ、まだまだ外気温が低いため、ウォームアップ不足は思わぬケガをもたらすことがあります。そこで今回はウォームアップの確認と、特に投球前にどのような準備をすればいいかについてお話をしたいと思います。

ウォームアップの目的と流れ



投球障害予防のためにも投球前の準備は入念に行おう

 メイン練習に入る前に必ず行うウォームアップ。文字どおり体を温め、より良いプレーが発揮できるようにすることと、思わぬケガを防ぐことを目的としています。ウォームアップを行うと体にはどのような変化が見られるのかを再確認しておきましょう。

1)体温・筋温が上昇し、筋肉や腱などの柔軟性を高めて、関節可動域(関節の動く範囲)の増大につながる
2)神経の伝達能力が高まり、目や耳といった感覚器からの情報をすばやく動作につなげられるようになる
3)心拍数と呼吸数が少しずつ増えることで、心臓や血管など循環器系への急激な負担を避ける
4)メンタル面の準備として精神的なゆとりを持つことができる

 一般的なウォームアップの流れとしてはまず軽く体を温めるためにジョギングなどを行い、そこからストレッチで筋肉や腱などの軟部組織を伸ばしつつ、関節の可動域を広げるようにしていきます。そのときに今日の自分の状態をしっかりチェックするようにしましょう。「今日は昨日と比べて体が硬いな」とか「右は動きやすいけど左は動かしにくい」といった小さな変化を見逃さないようにし、必要に応じてストレッチやエクササイズを追加しながら状態を観察します。その後、ランニングドリル、体のキレを意識したダッシュなどを行い、キャッチボールや全体練習へと移行します。

投球前に必要なコンディショニングとは

 特にピッチングなどである程度球数を投げる場合を想定してみると、一般的なウォームアップに加えて、投球動作をスムーズに、再現性を高くできるような準備をすることが必要となってきます。それぞれの筋肉の柔軟性を高めることはもちろん大切ですが、その他にも下肢から上肢にかけて力の伝達に必要な股関節周辺部の柔軟性、胸郭を含めた体幹部の安定性とひねり動作に必要な柔軟性、肩関節を支える腱板筋群(いわゆる肩のインナーマッスル)の安定性などが必要となってきます。必要なものは個人によっても変わりますが、全体のウォームアップでその日のコンディションを確認し、投球の準備として行うようにしましょう。

【次のページ】 :投球前のコンディショニング

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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