第616回 強心臓が武器の小さな左腕。「ピンチが大好き」西武・野田 昇吾が挑む世界の舞台。2017年11月19日

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 埼玉西武ライオンズの若き左腕、野田 昇吾。167センチと小柄ながら、最速148キロの力強いストレート、スライダー、シュートを中心に投球を組み立てる中継ぎ投手だ。「ピンチで登板するのは大好き」という彼は、2017年のデータによると、投球の50%近くがストレート。クロスファイヤーを武器に、右打者にも臆することなく内角を突く度胸満点の投球、左右共に被打率が2割を切る好成績を残した。(右.190 左.141)2017年はルーキーイヤーとなった前年の登板数を2倍近く上回る38試合に登板し、防御率1.98の好成績。そして現在行われているU-24日本代表に選出されるに至った。そんな彼の野球人生を振り返っていく。

憧れの左腕の背中を追い鹿児島実へ。そして高校で世界の舞台を経験


野田昇吾

 野田は福岡県糸島市に生まれ、九州の強豪校、鹿児島実の門をたたいた。同校野球部は言うまでもなくプロでも著名な選手たちを輩出しているのだが、野田自身が強いあこがれを抱いていたのは、卒業生の杉内 俊哉投手(現・巨人)だ。小学校時代に杉内の野球教室に参加してから、同じ左腕として強くあこがれるようになった。

 杉内の背中を追って入学した形になった鹿児島実では、1年夏から投手としてベンチ入りを果たした野田。2年生の春からはリリーフとしての役割を与えられるようになり、この年の鹿児島大会では4試合に登板しすべて無失点に抑え、チームは甲子園出場を果たした。

 甲子園では全2試合に登板。まず初戦の2回戦、能代商戦は、15対0とリードする9回裏に登板し、1回2奪三振無失点。完封リレーを完成させた。

 次の3回戦、九州学院戦は、先発の用皆 峻が3回4失点の乱調で降板。4回から野田がマウンドを受けロングリリーフした。9回裏に味方が3点を取り土壇場で追いついたものの、10回表で守りのミスから失点を許し、接戦を落とした。野田自身は6回を投げて4失点(自責3)だった。

 新チームに代替わりし、野田はエースとしての役割を得る。2年秋には神宮大会に出場し、3試合に先発、25回1/3を投げて防御率2.13の活躍を見せた。決勝戦では日大三の4番・横尾 俊建(現・日本ハム)に本塁打を浴びるなど、7回1/3を4失点で惜しくも敗戦、しかし準優勝となった。

 3年夏は残念ながら県準決勝で敗退するものの、U-18代表に選出された。予選リーグの台湾戦で、歳内 宏明の後を受けて2番手として登板。近藤 健介(現・日本ハム。アジア選手権U-24日本代表)とのバッテリーで5回を投げて無失点で勝利に大きく貢献。(レポート)持ち前の強心臓で見事な世界デビューを飾ったのだった。

 そして高校卒業後は社会人を経て、2015年ドラフトで西武から3位指名。晴れてプロ野球の道に進んだ。西武の中継ぎ左腕は特に不足していたうえ、抑えの髙橋 朋己が大怪我を負い、計算できる左腕は2015年パリーグ登板数2位の武隈 祥太のみと言っていい状況に陥っていたため(1位は牧田 和久)、野田には即戦力中継ぎ左腕として期待が寄せられた。

 その期待に応え、プロの世界でも度胸を武器に打者に立ち向かう野田。今年の活躍が買われ、山岡 泰輔(オリックス)の代替選手という形ながら、高校以来の世界大会となる、U-24代表に選出された。

 初戦の韓国戦はワンポイントで登板し1人をしっかりと抑えた。台湾戦は1回を投げて無安打2奪三振の好投。ここまで今大会では安打を許さない、中継ぎとしての役割を十二分に果たしている。この大会でさらに感覚とハートの強さを磨き上げ、背中を追い続けた杉内投手にさらに近づいていく、彼の姿をぜひ目にしたい。

(文・編集部)

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