【選抜大会】ドットコム編集部が選ぶ選抜大会ベスト9はこの選手たちだ!
今年も熱戦続きだった第88回選抜大会。多くの人がその大会ごとのベストナインを挙げるが、人によって選出基準が違う。大会活躍度、印象度からの選出だけではなく、夏でさらなるブレイクが期待できる選手を選出してみた。あわせて選出選手については夏の展望も述べて行きたい。
※1チーム2人までの選出とする。
ヘリコプター打法で話題になった馬越など華のある選手を選出
馬越 大地(滋賀学園)
投手:村上頌樹(智辯学園)
捕手:九鬼隆平(秀岳館)
一塁手:馬越 大地(滋賀学園)
二塁手:美濃 晃成(高松商)
三塁手:吉澤 一翔(大阪桐蔭)
遊撃手:林中 勇輝(敦賀気比)
レフト:天本 昂佑(秀岳館)
センター:安西 翼(高松商)
ライト:福元 悠真(智辯学園)
投手は創志学園の高田萌生か悩んだが、智辯学園のエース・村上頌樹を選出。村上は135キロ~140キロ前後の速球ながら、手元で伸びる球質。自分のストレートに自信を持っているのか、高めへのつり球もどんどん使っていた。さらにスライダー、カーブ、チェンジアップと多彩な変化球を内外角へ投げ分ける制球力も光り、47イニングで僅か自責点2と抜群の安定感を示した。相手チームに流れを与えないピッチングは、まさにエースと呼ぶべき投球だった。彼よりもポテンシャルが高い投手はいたが、村上は勝つためにどういう投球をするべきなのかを教えてくれた。
この夏、村上に期待したいのは春よりもスケールアップした姿を見せること。過去の選抜優勝投手を見ると、疲労により、夏は春よりも状態を落としている投手が多かった。春で調子をピークにもっていった故に、夏まで調子を持続しさらにステップアップするのは、過去の例から見て難しいのが良く分かる。その中でもしっかりと疲労を取って、夏へ向けて調子をピークにもっていき、スケールアップしたピッチングを見せることができるか。今の投球術、ストレートの質のまま、球速が常時140キロ台~145キロまで伸びてくると、評価はさらに上がりそうだ。
捕手は九鬼隆平(秀岳館)。誰がプロ向きなのか?という点で考えると、九鬼となる。大会初戦の花咲徳栄戦で高橋昂也から二塁打を放ったが、計4試合で16打数4安打と満足いく出来ではなかった。しかし長打力、強肩、判断力の高さ、俊足とポテンシャルの高さはやはり今大会だけではなく、全国的に見ても一番。夏の大会へ向けて、自分の実力を発揮できるか、注目をしていきたい。
一塁手は馬越大地(滋賀学園)。打席時にバットをグルグル回すヘリコプター打法で話題になったが、今大会出場した一塁手の中で最も迫力ある打撃を見せた選手だ。特に素晴らしかったのは釜石戦(試合レポート)。第1打席は先制となる右前適時打。第3打席はスライダーを引き付けて左中間を破る適時二塁打。さらに第5打席も高めに浮いたスライダーを捉えてレフトスタンドへ飛び込む豪快な本塁打を放った。昨秋の近畿大会準々決勝の報徳学園戦でも左腕・主島大虎から右方向へ二塁打を放った打球を見たが、この打球もすごかった。打力が高い選手が集まる一塁手だが、選抜では最も内容のある結果を残しており、夏へ向けてさらに爆発を予感させる選手だ。
美濃、吉澤、林中など全国経験豊富な逸材を選出
二塁手は美濃 晃成(高松商)だろう。1回戦のいなべ総合戦でサヨナラのきっかけを作る三塁打、2回戦では創志学園の高田萌生から二塁打を打つなど、打撃面で大活躍。さらに軽快な二塁守備を連発するなど、とても華がある選手だった。もっと打撃面で波を少なくして、さらに走塁面でもアピールできれば、内野手の中でも守るのが難しい二塁手ということで、評価もより高くなるだろう。
三塁手は吉澤一翔(大阪桐蔭)。欠点が少ない打撃フォームなので、どの投手にも対応できる技術がある。さらには一発を打てる長打力もあり、ここぞというところで一打を打てる勝負強さもある。三塁守備は強肩が光り、堅実。さらに球際が強くなると、全国トップクラスの三塁手として注目されるだろう。
林中 勇輝(敦賀気比)
遊撃手は林中勇輝(敦賀気比)。初戦の青森山田戦で決勝点となる適時打。そして2回戦の長崎海星戦でも本塁打を放ち、敦賀気比の全得点をたたき出した選手である。そして安定感ある守備も健在。打撃は一冬越えて少しずつ伸びてきており、今年はドラフト候補に挙がる高校生遊撃手は少ないだけに、さらなるレベルアップを期待したい。
レフトは天本 昂佑(秀岳館)。南陽工戦(試合レポート)では豪快な3ランを放っており、あれほど振り切ったスイングができる選手はそうはいない。敗れた高松商戦(試合レポート)でも4安打の活躍。対応力、長打力ともに強打者揃いの秀岳館の選手の中でもピカイチのものがある。
センターは安西翼(高松商)。塁間タイム3.9秒台で駆け抜ける俊足、当たれば止まらない巧打力、守備範囲の広い外野守備と三拍子揃った選手である。やはり突出した走力を持った選手の存在はとても重要である。
ライトは福元悠真(智辯学園)だ。開幕戦の福井工大福井戦では先制となる2点適時二塁打、さらに鹿児島実業戦(試合レポート)でも2点本塁打を放ち、21打数6安打1本塁打4打点と優勝に大きく貢献した。まだ伸び盛りのスラッガーということでピックアップをしたい。
今回、選ぶのに、かなり悩ませる大会となった。それだけ各ポジションに逸材がいたということ。もちろん惜しくも選ばれなかった選手も、ブレイクを期待したい選手たちである。ぜひ夏の甲子園でも観客をワクワクさせるパフォーマンスを見せてほしい。
(文・河嶋 宗一)
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