Column

沖縄尚学高等学校(沖縄)

2012.08.29

野球部訪問 第75回 橘学苑高等学校(神奈川)

 沖縄尚学といえば、過去に夏の甲子園は5回、春は4回出場。さらに、センバツでは2度の優勝を収めるなど、全国でも強豪校と呼ばれる高校の1つだ。
 今年の春の県大会は優勝。夏の沖縄大会では、2季連続で決勝戦まで勝ち進むも、浦添商業に5対8で惜しくも敗戦。それでも、常に高い結果を残し続ける沖縄尚学に、今回は伊志嶺副部長より『新チームのカラダの作り方』を伺いました。

体なくして、技術の向上なし

▲泥だらけになりながらも笑みの絶えない練習風景

 『体なくして技術の向上は無い』という方針は大事にしていますね。どうしても技術ばかりに目がいきがちなんですけど、やっぱり体力がないと技術が身につかないですから。

 どんなに、こういう打ち方しろ、ああいう投げ方しろと言っても、筋力がないとそういう打ち方も投げ方も出来ないし、やっぱり習得も遅い。まずは体をしっかり太くすること、そして大きくすること。そこから技術だよ、と常に選手たちには伝えています。

 とはいっても、うちは器具を使ったトレーニングよりも、自分の体で出来るトレーニングを主に行っています。

 もちろんウエイトもさせるんですけど、それ以外でもジャンプ系を入れたり、腕立て伏せ、体幹トレーニングなどを取り入れています。そういった種目を色々と取り入れながら、自分の体を使って負荷をかけていくトレーニングを多く行っていきますね。もちろん、トレーニングについては毎年変化はあるので、常に同じことばかりを行っているわけではないのですが、「自分の体を使ったトレーニング」ということに関してはずっと継続していることではありますね。

 食事面に関しては、普段の食事については、「こういうビタミンを摂りなさい」とか「こういったものを摂りなさい」といった細かいことはやっていないんですけど、とにかく量と、タンパク質と炭水化物ですね。血となり肉となるものを多く摂らせるようにしています。

▲ミーティングの様子

 また、今は「豆乳」を毎日飲んでいます。これは夏休みだけでなく、学校が始まってからも、昼ごはんが終わって午後の授業を受けて、練習が始まると大体17時、18時くらいになるとお腹が空くんですね。だから、その時におにぎりを食べさせて、豆乳も飲ませていますね。
 豆乳は動物性ではなく、「植物性たんぱく質」ということで、体にいいので、それを取り入れることによって選手たちの意識もまた変わってくるんです。「肉を食べろ」「何々を食べろ」というよりは、「これはこういうものだから」ということで説明することで、選手も興味を持って行動をしてくれるようになりました。

沖縄尚学の暑さ・日差し対策

▲炎天下の中での練習のため、対策は万全に。

 一番の暑さ対策は、こまめに水分を取ることですが、水分だけではなく塩分や糖分もしっかり取りながらやるようにという指導しています。また、これだけ日差しが強いものですから、帽子を被る。当たり前のことのようなんですけど、高校生が自主練習をするときに帽子を取って練習をしたりしがちなので、そういったところにも気を遣わせながら練習をするようにしています。

 また、この暑い時期のコンディションの作り方というのは、試合でも練習でも変わりません。試合だからこうしようという取り組みはないんです。うちのグラウンドは、風通しがいいけど、日影がありません。それでも、明日試合だからと影の中でアップしたりといったことは全くやらないですね。

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[page_break:2012年秋からの新チームを紹介!]

2012年秋からの新チームを紹介!

▲沖縄尚学野球部 諸見里 匠 主将

 夏までのチームや、その前のチームの時(当時1年生の時)から出ている選手たちが鍵になってくるんじゃないかと思います。この夏は4番を打っていた柴引、1番バッターの諸見里、また2番を打っていたセンターの知念たちですね。この1番の諸見里と、2番の知念は機動力があり、また長打力もある選手。彼らがかき回してくれると、すごくチームが機能するので、この野手3名が1つ鍵になるかと思います。

 投手陣に関しては、中央大会でベンチに5名入れていたのですが、実際にゲームを成り立たせるようなピッチャーというのは、去年から投げている右の宇良と左の比嘉。この2人は夏の決勝戦も投げたのですが、この2人が軸になりますね。

最後に…沖縄野球が強い理由

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 僕は『環境』だと思いますね。それは何かと言いますと、沖縄の場合は小学校野球、中学野球と、野球を教える環境が整っていると思うんですね。近年では少年野球からでも、連携プレーを教えているチームもありますし、中学校も毎日のように練習しています。

 沖縄の場合は、野球というスポーツが、すごくメジャーな地域というか土地柄もあって、野球に対する熱が強いと思うんです。そういった中で、小さい子が小さい時から始めて、注目されて、それで育っていくという環境なんじゃないかなと思いますね。

 よく、沖縄の球児は『身体能力がすごい』とかよく言われるんですけど、それは二の次だと思うんですよね。小さい頃から教えてくれる人たちがたくさんいる。それにプラスして身体能力と考えています。

 身体能力に関しては、先ほどもトレーニングについては、お話ししましたが、やっぱり野球の動きの中でバットやボールを使いながら体を作ることが大事ですね。

 うちも、新チームが始まる夏は、カラダ作りと並行して、実践をより多くしないと秋までに時間が無いものですから、バットやボールを使いながら体を作っていきます。
 この時期は、より多く打たせたり、より多く捕球させたりとそういった中で、足腰を作っていく。沖縄尚学の場合は、野球の動きの中で筋力をつけていくことを目指して取り組んでいますね。

 沖縄尚学・伊志嶺副部長、ありがとうございました。

 小さな頃から、そして高校に入っても足腰を基本としたカラダ作りを大事にしている沖縄の球児たち。ウエイトなどの特別なトレーニングを積むわけではなく、野球と切り離さないカラダの使い方で、筋力や体力をアップさせていく。普段からのカラダ作りに対する習慣が、沖縄の高校野球界を引っ張る沖縄尚学の選手たちを強くしているのでしょう。

(取材協力=照屋盛仁)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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