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光星学院高等学校(青森)

2011.02.18

光星学院高等学校

光星学院高等学校 2011年02月18日

打撃のチームで2年ぶりの選抜へ

 2年ぶりに春の甲子園に戻ってくる光星学院。これまで輩出したプロ野球選手5人のうち4人が投手であるように、投手を中心とした守りの野球が伝統的にある。

投手はエース・秋田と外野手兼任の川上がともに最速142キロ。秋田は入学時、球速にこだわっていたが、「速くても打たれる」とコンロトールを重視。制球力とともに、この冬はチェンジアップに磨きをかけてきた。昨年の5月から本格的に投手を始めた川上は試合経験の少なさを埋めるべく投げ込んできた。この二枚看板に、制球力のある李基成(2年)、外野手登録の左腕・江見健人(2年)がいる。

今年のチームは、その守備力に加え、攻撃力が例年以上。東北大会決勝では14安打しながら11残塁が響いて東北に3対5で敗れたが、4試合で58安打41得点と強力な打力を披露した。

仲井監督が重視しているのはタイミングの取り方だ。正確に言えば、いかにタイミングを崩されずに打てるか。
そのために「タイミングを早く取らせている」という。本来なら投本間18.44mのところを約13mにして行われる「近距離バッティング」を昨夏前から取り入れている。

打撃投手は力を込めて投げるため、体感スピードは速い。だから、早くタイミングを取れるようになるのだ。
さらに強化期間では1日1000スイング、決められた本数はなくても自主練でスイングする選手がほとんど。徹底的に振り込んでいる。

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調子を上げている主将の川上竜平

1番の澤辰寿(2年)の打率は.436。その打率もさることながら、四死球が14(練習試合では22)と出塁率が高い。

クリーンナップは打率.417の3番・北條史也(1年)、打率.517の4番・金山洸昴(2年)。準決勝の仙台育英戦で1試合3本塁打を記録した5番の田村龍弘(1年)は、ホームランバッターのイメージが定着しているが、実はクリーンヒットが21で打率5割。
仲井宗基監督は「ミートが上手いんです」という。

下位もあなどれない。6番の和田祥真(2年)がつなぎ、県大会では4番に座っていた川上竜平(2年)、二塁打をチーム1位タイの6本打っている松本憲信(2年)に回る。

9番のエース・秋田教良(2年)以外、3割以上の高打率を誇る打線が出来上がった。チーム打率.418は出場校唯一の4割越えでNO.1だ。

夏の甲子園はここ7年遠ざかっているものの、2000年にはベスト4入りするなど好成績を納めているが、センバツでは過去4回、一度も勝っていない。
巨人の坂本勇人内野手が4番だった2006年も、ソフトバンクの下沖勇樹投手がエースだった2009年も初戦敗退。
仲井監督は「打てなくて負けた。攻撃できなくて負けた」と分析している。
「バッティング練習しているし、力も付いている。でも、打てない。何でだろう?って考えた時、実践の感覚が取り戻せていないんだなと。多く実践する必要がある」

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選手に指示を与える仲井監督


今年は初めて2月にキャンプを行った。11日から15日まで茨城県日立市で久々の実践的な練習ができた。
八戸のグラウンドにはまだ膝丈くらいの雪が積もっている。室内練習場がないため、冬の間は体育館、駐車場などが練習場。岩手県久慈市にある室内練習場を使うこともあるが、頻繁に使用できるわけではないし、実践的な練習も難しい。

日立では初日こそ雪に見舞われ、2日目も雪かきから練習が始まったが、シートバッティングやケースノックなど、広い球場を存分に使って練習した。

最終日の紅白戦はグラウンドコンディション不良のため、中止になったが、「雪も降って、来なかったらよかったかなとも思ったけど、1本バッティングもできたし、満足。今回大きいのは外でやれたこと。カバーリングの入り、中継プレーの長さなど、感覚が鈍っているんだぞということが分かっただけでも十分」と仲井監督。

2日目には打球を遠くに飛ばそうとして体が開き、ナインは仲井監督から注意を受けたが、それもグラウンドだからわかったことだ。
「(八戸に)帰ったら、もっと技術を磨いて、実践感覚も鈍らないように意識しながらやっていきたい。沖縄遠征もすぐに来る。このグラウンドに来た意味がなくならないようにしたい」とキャプテンの川上。

2009年は直前に沖縄・石垣島でのキャンプからスタート。今回は日立キャンプを行ったことで早くに実践感覚が鈍っていることを知ることができた。
3月6日に沖縄・石垣島入りし、練習試合解禁の8日からさっそく、試合を始める。10日は1999年と2008年のセンバツで優勝の沖縄尚学とも対戦する。関西入りしてからも京都外大西和歌山商など強豪の胸を借りる。

過去の反省から準備万端で挑む光星学院の春。
川上が「1勝できていないというのは光星学院として悔しい。自分らで1勝を達成したい」といえば、「(春は)1回も勝ったことがないので、初戦を勝って、1戦1戦勝っていきたい」と秋田。
今回、甲子園で初めて指揮を執る仲井監督も「本校にとっては1勝が非常に遠い。何とか1勝。1つでも勝てるように頑張っていきたい」と言う。

今後、実践を多く積んで甲子園入りする光星学院。出場校中、NO.1打率のチームが歴史を変える悲願の初戦突破を果たすと、どこまでも突き抜けていきそうだ。

(文=高橋 昌江)

■ 光星学院 選抜特集ページ

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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