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10点勝負の超乱打戦で郡山(奈良)は県の頂点を目指す【後編】

2020.12.31

 近畿王者・智辯学園、そして好投手・達 孝太を擁する天理などがひしめく奈良県。そんな智辯学園天理とともに『奈良御三家』として並び称された公立校が存在する。それが公立校・奈良郡山である。

 大和郡山市に学校を構え、県内でも有数の進学校としても有名な奈良郡山。春夏合わせて12回の甲子園出場実績を持つ実力校の今はどんな練習なのか。

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智辯学園に善戦した郡山(奈良)!通算12回の甲子園出場実績誇る古豪の現在【前編】

自力で打開するために必要な取り組み

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指揮官の生島秀峰監督

 智辯学園の前に敗れた奈良郡山。そこで感じたことはフィジカルの違いだった。

 「スイングスピードと体の強さは違いましたね。運動能力の高い選手は揃っていますので、身体づくりさえしっかりやれば近づくことが出来ると思っています」

 だからこそ、木村 新吾コーチのトレーニングが大きなポイントを握っているが、同じだけ大事なのが集中力だと感じながら練習をしている。そして新チームから課題に掲げられた勝負強さを鍛えるために必要だと感じているのは、野球以外の部分にあると生島監督は感じている。

 「これまで勉強や野球に打ち込めるように、周りのことは保護者の方にしてもらうことが多かったと思うんです。ただお膳立てしてもらった状態で野球や勉強をしてきたからこそ、自分たちの力で道を切り開けないから、勝負所で受け身に回って弱さが出ますね」

 取材当日は練習前に町内を回ってゴミ拾いをしていたが、そうした清掃活動や挨拶と言った細かいところに力を入れている。今まではやって来てもらった部分を自分たちで取り組むことで、指示を待つ習慣を克服しようとしている。

 またメンタル面の強化も出来ることを狙っていることを生島監督は語っている。

 「野球は我慢したり、きつい時間が長いなかでどのように対処するかが大事なスポーツです。ですが、今の選手たちは能力が高くても褒められて成長してきた選手が多く、叱られ弱いです。そうした部分も鍛えてあげたいですね」

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打ち勝つ野球で奈良の頂点へ

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練習に打ち込む郡山の選手たち

 3年生になると、塾に通う選手も出てくるという奈良郡山。「その時期頃から自主性に任せる部分は増えてくると思いますが、文武両道出来るのが強みですし、それが出来るから名門だと思います」と生島監督は語る。

 授業は7限、加えて練習終わりには塾に通うというハードなスケジュールでも、奈良郡山は結果を残せる。それは「常に集中していないといけないので、それが野球にも繋がっていると思います」と山口瑛士主将が語るように、勉学で培った集中力が奈良郡山の野球を支えているからだった。

 巻き返しの春へ、目指すのはあくまで新チーム発足時と変わらず打ち勝つことだ。

 「智辯学園と対戦して、チャンスでの1本、勝負強い打撃が出来ず、ピンチでエラーをしてしまったのが敗因です。とにかく打ち勝てるように1人1人が振り込まないと強豪私学に勝てないので、意識して取り組んでいきたいと思います」(山口主将)

 生島監督も目指すチーム像は同じく打ち勝つチームだ。

 「やるからには頂点を極めたいと思っています。ただ経験から考えても、そつのない野球をして、さらに相手投手を研究してパワーを付けて10点勝負くらいのハイスコアの試合で勝ちたいと思います」

 乱打戦を制す。智辯学園天理ともに打力に毎年定評があるが、強豪私学にも打ち負けない破壊力で奈良郡山が来シーズンに一波乱をおこせるか。一冬超えた奈良郡山の打線の威力がどれほどになるのか楽しみだ。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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