Column

名門校にコールド勝利!1つの勝利がチームを飛躍させた 海津明誠(岐阜県)【前編】

2019.03.20

 昨秋の大会では、西濃地区の最大の壁でもある大垣日大が甲子園出場を果たして予選免除となったということもあったが、一次ブロック予選を1位で通過。さらには、その勢いで県大会も各務原西大垣西に競り勝ってベスト8入りを果たしている。粘り強い野球を持ち味とする海津明誠を訪ねてみた。

期待値が高い岐阜県屈指の伝統校

名門校にコールド勝利!1つの勝利がチームを飛躍させた 海津明誠(岐阜県)【前編】 | 高校野球ドットコム
海津明誠の選手たち

 岐阜県第二の都市で西濃地区では最も栄えている大垣市。『奥の細道』の松尾芭蕉が、「旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる」と詠んで旅を閉じた地としても知られている。その大垣駅からローカル鉄道の養老鉄道で40分ほど揺られていくと海津市に入り、駒野という沿線では数少ない有人駅に到着する。そこから約2km離れたところに海津高校の校舎とグラウンドがある。

 現在の学校の前身となる海津中学は1921(大正10)年に創立しており、間もなく100周年を迎えようとしている。学校の花壇には、それを祝うようにデザインされた花文字が作られていた。

 学校の歴史としては、戦後の学制改革で海津女子(旧海津高女)と統合されたり、家政科が独立していた海津北などを再統合して2005(平成17)年に新校として誕生したのが海津明誠だ。

 現在は普通科3クラス、情報処理科と生活福祉科がそれぞれ1クラスとなっている。3学年を合わせると550人規模の学校である。
 グラウンドは校舎に隣接しているが、「他の部活動があまり活動していないので、ほぼ専用球場みたいなものですね」と岩橋浩二監督は笑う。就任して13年になるが、その間に土入れ作業をしたり、グラウンド整備用のカートを購入したり、手作りでネット裏やブルペンを整備したりということにも取り組んできた。

 そうしたことも、地域の中学野球の指導者や野球部などに伝わって、「あそこならば、選手を成長させてくれるだろう」という期待も高くなってきている。だから、積極的に選手たちを送り込んでくれるようになってきた。

 グラウンドの左翼は96m、右翼が90mとやや変形だが、中堅も117mくらいあるという広さを有している。十分に試合が組める広さではあるが、周囲の道路へ打球が飛び出してしまうことに配慮して、ホーム上にはネットがかけられている。左右のファウルグラウンドにも打球除けのネットが下げられているので、そこはローカルルールで試合をせざるを得ないという環境だ。とは言うものの、グラウンドのない都会の学校からすれば羨ましい限りであろう。

[page_break:夏の大金星がチームの成長に繋がった]

夏の大金星がチームの成長に繋がった

名門校にコールド勝利!1つの勝利がチームを飛躍させた 海津明誠(岐阜県)【前編】 | 高校野球ドットコム
試合に挑む海津明誠の選手たち

 海津明誠の名がスポットを浴びたのは一昨年夏の第99回岐阜大会2回戦だった。
 春夏28回ずつの甲子園出場を誇り、全国制覇も春夏合わせて4回という県内屈指の名門校県岐阜商にコールド勝ちして、その勢いでベスト8まで進出した時である。

 岐阜県の多くの高校野球ファンや関係者は、「当初、9対1というスコアだけを聞いた時には、チーム名が逆なんじゃないかと思った」と言われたくらいに、衝撃だったのだ。そして、その試合で最後に勝利のマウンドにいたのが、当時1年生だった河口善光君である。

 「いや、まあ、何となく勝ったなぁと思ったんですけれども、後になって凄いことだったのかなぁと思いました」と、その時は意外とあっさりとしたものだった。

 さらに言えば、県岐阜商としては、その敗退の仕方がOBはじめ関係者などの逆鱗に触れたと言われている。そのことが、やがては監督人事にまで影響が及んでしまったという騒ぎになったのである。その切っ掛けを作ったのが海津明誠だったのだ。

 また、海津明誠としても、それが一つのステップアップとなっていった。河口君ら当時の1年生たちが中心となって戦った昨年の秋季県大会でもベスト8に進出した。準々決勝では岐阜第一に後半ひっくり返されたものの、前半は対等の戦いだった。そして、リードされても9回に岐阜第一の安定した高倉投手から3点を奪うなど粘りを示すことも出来た。

 前編はここまで。後編では海津明誠にある変わった慣習やベスト4以上の結果を残すための課題を伺いました。後編もお楽しみに!

 

(文・手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【大阪】大阪桐蔭が快勝!準々決勝でプロ注目・今坂幸暉擁する大阪学院大高と対戦!<春季大会>

2024.05.06

【富山】富山商が高岡商を破って春連覇達成<春季県大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.01

【兵庫】報徳学園、須磨翔風などが順当に夏の第1シード獲得!昨秋ベスト4の長田、滝川二はノーシードに

2024.05.01

【福島】聖光学院と福島商が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>