目次

[1]私学優位の神奈川県でも戦える理由
[2]自分たちのカラーを引き出すことが大切

各自がそれぞれの役割分担を果たすことが大事という意識を育てる

 全国一の激戦区神奈川、ということは高校野球ファンの間ではしばしば語られることである。それは、全国一二の参加校ということもあるが、昨夏の全国制覇東海大相模をはじめ横浜桐光学園桐蔭学園慶應義塾日大藤沢など、全国レベルの私立校がいくつも存在しているからでもある。そんな中で、公立校の一角として健闘している川崎北を訪ねた。

私学優位の神奈川県でも戦える理由

選手たちで話し合うことも大切(県立川崎北高等学校)

 あまり知られてはいないが、川崎市にも有馬温泉がある。東急田園都市線の鷺沼駅から、車で10分程度というところなのだが、川崎市内の小高い丘にある。そもそも、丘陵に沿って住宅が建てられている川崎市。フラットなスペースが取りにくい地形なのだが、そんな住宅街の丘陵地帯に神奈川県立川崎北高校はある。だから、学校も校舎と、公道を挟んでグラウンドがあるという状況。

 グラウンドへは横断歩道橋を渡っていかなくてはならない。しかも、内野のダイヤモンドを作ったら、ほとんど使用可能なスペースはいっぱいになってしまうくらいに狭い。決して恵まれているとは言えない。普段の練習は、そんな狭いグラウンドにサッカー部や強豪としても知られたハンドボール部などとも共有している。だから、フリー打撃練習もバックネットへ向かって打てるというのがせいぜいだ。

 そんな環境であっても、圧倒的に私学勢力が優位に立っている神奈川県の高校野球で、川崎北は公立校の野球部としては一目置かれる存在である。それはどうしてなのだろうか。
過去には駒澤大を経てプロ野球の巨人にドラフト1位指名されたプロ野球選手の河原 純一投手を擁して、ベスト4に進出したこともあった。また、07年には秋季県大会ベスト4に進出して21世紀枠代表校候補にも推薦されている。

 そして、昨秋も県大会一次ブロック予選では桐光学園に敗れたものの、その後に勝って、何とか進出した秋季県大会では藤沢西に完封勝ち。4回戦では古豪の横浜商に競り勝つなどしてベスト8に進出を果たした。

 チームを率いる西野 幸雄監督は、「去年も新チームができたときに、決して強いチームじゃないよということは、言っていたんですよ。それが、最初に桐光学園と当って、それでそこそこいい試合(1対3)ができたということが、選手たちには自信になったんですね。『オレたち、案外やれるんじゃないか』と、いい意味で勘違いしてくれたんですね」と、苦笑しながらもその成果と自信を持ってくれたことを喜んでいる。

 高校野球の現場で指導歴30年以上というベテランの西野監督は桐蔭学園から日体大へ進み、その後は桐蔭学園でコーチを務めていた。やがて神奈川県の公立校の教員採用となり上溝霧が丘神奈川工を経て、12年に川崎北へ異動してきた。神奈川工時代には就任3年目でベスト8に進出して、04年夏には準優勝。悲願の甲子園に手が届きそうなところまで導いた。

 100人をはるかに超える大量部員を抱えていた神奈川工時代には、練習試合ユニフォームには全員背番号をつけるようにして、自校会場での試合の時は選手名簿も作っていた。「そうすると、見に来てくれた人が、背番号を見て、選手を名前で呼んで応援してくれるんですよ。これは、やはり選手たちにとっても励みになりますよね。それに、やってきたOB達も、自分の背番号を引き継いでいっている選手には、声を掛けくれるんですよ。それも、やはり選手にとっては嬉しいことでしょう」と、背番号効果について語ってくれた。

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