目次

[1]今年はつながりのチーム
[2]追求すべきはシンプルな野球

 前編では夏の敗戦の後どのように新チームを作っていったかを紹介した。後編では秋季全道大会神宮大会の振り返り、そしてさらなるレベルアップのためにどんな取り組みをしているかに迫っていく。

今年はつながりのチーム

上出 拓真選手(札幌第一高等学校)

 秋季全道大会制覇は、決して楽な道のりではなかった。
全道大会では北照駒大苫小牧北海道栄と強豪校とのガチンコ勝負が続いた。

 何を武器にして勝ち上がったのか。
8試合で8失点という数字を見れば、一目瞭然。7試合に先発し、5試合完投したエースの上出 拓真が急成長したことが最大の理由だ。

 直球の最速は138キロだが、キレのあるスライダーと制球力が持ち味。
「大会前には中盤に追いつかれたりして、勝った試合がありませんでした。でも、大会に入って調子が上がっていったんです。変化球でカウントを取れるようになりました」
と上出は振り返る。

 大会前に同校を訪れた元横浜高部長の小倉 清一郎氏から腕の使い方について指導を受けたことが一つのきっかけになった。
「アーム投げだったのですが、肘から投げるようにアドバイスを受け、ストレートに球威が出てきました」

 圧巻は全道大会準決勝駒大苫小牧戦。1回裏に奪った1点を守り抜き、被安打3で公式戦初完封を成し遂げた。決勝でも1回に味方の失策で1点を失ったが、3安打9三振で1失点(自責0)の完投勝利。チームの2得点も自らのバットでたたき出す一人舞台だった。

 上出の急成長を引き出した小倉氏と札幌第一の本格的な交流は、今年スタートした。
過去に横浜高との練習試合を通じて親交はあったが、今年3月の宮崎遠征で指導をお願いして以降、札幌にも何度か足を運んでもらっている。過去3度母校を甲子園に導いた菊池 雄人監督にとって、就任15年目での新たな試み。
「自分もプライドを持って指導していますが、修羅場をくぐってきた方から野球の指導、チームの指導について聞いてみたかった。いろいろなことを見直すきっかけになっています」と話す。

 学んだキーワードの一つが“つながり”だ。
「野球という中で、打線だったり、連係だったりで、いかにつながれるかということを深く考えています」

 新チームは、この“つながり”が一番の武器になっている。象徴的だったのは、全道大会準々決勝の北照戦だ。
毎年互いに相手を意識するライバル。4点リードで迎えた6回裏、この大会初めてミスが重なって3失点し、さらに銭目 悠之介捕手(2年)が本塁交錯プレーで脳しんとうを起こして退場するというピンチに陥った。
「あそこでピッチャー兼キャプテンである上出がしっかりした。そして、チームとして粘る能力、つながる能力を発揮した」
と菊池監督はチームの命運を分けた最大のポイントに挙げた。

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