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2019年高知県高校野球3大ニュース 森木 大智(高知)がもたらした「化学変化」

2019.12.31

 四国担当ライター・寺下友徳氏が四国各県を三大ニュースで総括!今回は高知県を総括いたします。

1.明徳義塾、取り戻した「反発力」

2019年高知県高校野球3大ニュース 森木 大智(高知)がもたらした「化学変化」 | 高校野球ドットコム
星稜を相手に完投勝利を挙げた新地智也(明徳義塾)

 昨年は夏の高知大会決勝戦敗退に続き、秋も四国大会準々決勝で高松商に敗れ2季連続甲子園を逃すことになった明徳義塾。一時は勢力の減退が懸念されたが、2019年は甲子園50勝を達成している名将・馬淵 史郎監督の下、四国をけん引するチームの意地と彼らが名門たりえる源である「反発力」が如実に現れた。

 中でも象徴的だったのはこの2試合。夏の高知大会決勝戦では3回から途中登板、彼らにとっては初対決となった高知森木大智(1年)に対し6回で3点を奪って2年ぶり20回目の夏甲子園出場。その過程が聖地でも藤蔭(大分)相手に1勝をあげ、実力上位の智辯和歌山(和歌山)に対しても中盤まで互角以上に食い下がる粘りにつながった。

 また、秋の四国大会準決勝でも県大会準決勝で10対11で敗れた高知中央に1回裏・2回裏の連続8得点などで5回コールド・16対1で圧勝。「10回以上は県大会準決勝の映像を見た」指揮官を筆頭とした執念にも近い探究が、世間的にも大きな話題を呼んだ明治神宮大会・星稜(石川)戦での勝利にも活かされたといってよい。

[page_break: 2.夏の高知大会で日本高校野球史上初の「タイブレーク・延長16回」/3、「森木 大智(高知)の衝撃」が呼び込んだ戦国時代]

2.夏の高知大会で日本高校野球史上初の「タイブレーク・延長16回」

2019年高知県高校野球3大ニュース 森木 大智(高知)がもたらした「化学変化」 | 高校野球ドットコム
既定の15回を188球7安打10奪三振6四死球失点1自責点1で投げぬいた高知東・島田 龍二(3年)

 延長13回・14回・そして15回。タイブレークに入っても動かないスコアに[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium]全体が次第にざわつき始めた。高知大会2回戦高知東vs高知高専は延長15回でも決着が着かず延長16回からは両先発投手も高校野球特別規則により交代。結果は16回表に7点を奪った高知東に凱歌が上がることになった。

 2020年はセンバツ・春季県大会及び地区大会から1週間で500球の「球数制限」が本格導入されるなど新たな時代を迎えることになる日本高校野球であるが、その変革に先立ち両校3年生「最後の夏」で「規則上の交代」が起こったこと。加えてその際に取材する側ですら複雑な感情が浮かんできたこの一戦は、事後検証含め今後に活かしていかなければいけない。

3、「森木 大智(高知)の衝撃」が呼び込んだ戦国時代

2019年高知県高校野球3大ニュース 森木 大智(高知)がもたらした「化学変化」 | 高校野球ドットコム
高知県総体で148キロを計測した森木大智(高知)

 高知中3年時に軟式球で史上初の「150キロ」をマークした森木 大智高知)が待望の高校野球デビュー。5月の高知県総体で「148キロ」を出し、7月の高知大会でも準決勝・高知商戦では圧巻の投球を誇示。秋はコンディション不良で公式戦マウンドは0回3分の1に留まったものの、トータルでは高校球界に爪あとを残したことは確かである。

 その一方でどの試合においても相手打者が森木に対して抱く気迫は極めて旺盛。近年、県内の試合ではおとなしめだった「土佐のいごっそう」(頑固で気骨のある男)の本質、さらに秋季四国大会出場の高知中央岡豊を中心とした戦国時代を引き出した点も森木大智の隠れた、かつ大きな功績である。

(文=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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