星稜の夏の対戦校には、必ず名選手、良きライバルがいた!
星稜高校時代の松井秀喜(提供=手束仁)
これまでに星稜が夏の甲子園でベスト8以上まで勝ち上がったのは、1976年、1991年、1995年の3回。その時のレギュラーメンバーは、その後、プロ入りした選手も多くいるが、高校野球の監督となって、甲子園出場に導いている名指導者も存在していることが分かった。
【1976年 ベスト4】スピードガンの申し子・小松が登場!対戦した選手も元プロ、高校野球監督などがずらり
当時、スピードガンの申し子と呼ばれた速球投手・小松辰雄(元中日)を擁してベスト4入りした星稜。小松投手は全4試合完投。そのうち2試合完封。36イニングで計6失点、28奪三振と素晴らしい成績を残した。まだ、2年生だった小松投手は最終学年の活躍を期待されたが、1977年のセンバツ、選手権では初戦敗退で終わっている。
1976年で対戦した選手の中には好選手が多く、3回戦で対戦した天理はエースの福家雅明がいた。小松と同学年で、その後、阪神でプレー。現在はテレビディレクターとして活躍している。春季キャンプでは阪神のリポーターとして登場するなど、引退後も阪神ファンからの人気が高い野球人だ。
準々決勝で対戦した豊見城のエース・赤嶺賢勇はその年、巨人に指名された好投手。そして準決勝で対決した桜美林のエース・松本吉啓は、その後、埼玉栄、千葉経大附の監督を務め、千葉経大附時代は、春夏通算5度の甲子園出場に導き、丸 佳浩(現・巨人)を育てている。
【1991年 ベスト4】松井秀喜の在学中に甲子園で最高戦績を収める!
その後、1981年~1984年まで春夏どちらかで甲子園にコンスタントに出場してきた星稜。1989年からは3年連続で出場を果たすなど、甲子園常連校になりつつあった。高校時代に、4度の甲子園出場を決めているゴジラ・松井秀喜にとっては、1991年の甲子園は、最高戦績を収めた大会でもあった。この年、松井だけではなく、好左腕・山口哲治も高校生トップレベルの左腕として活躍していた。現在、星稜の指揮を執っている林和成監督は、松井の一学年下の後輩である。
松井は3回戦の竜ヶ崎一戦では甲子園初アーチをかけ、準々決勝の松商学園戦では3対2と勝利を収めているが、松商学園には1991年の選抜準優勝投手で、エース・上田佳範がいた。上田はプロ入り後、投手から野手に転向し、日本ハム、中日でプレー。強肩巧打の外野手として1027試合にも出場した名プレーヤーとして活躍。引退後は中日のコーチを経て、現在は横浜DeNAの一軍外野守備走塁コーチとしてチームを支えている。
準決勝では、初出場の大阪桐蔭に敗退。大阪桐蔭は初出場ながら、この年の甲子園で優勝を収めるが、これが常勝軍団・大阪桐蔭の始まりとなった。
当時の大阪桐蔭には4番・萩原誠がいて、のちに阪神入り。星稜戦で1失点完投勝利を挙げた背尾 伊洋は、その後、近鉄入りしている。
【1995年・準優勝】夏最高戦績!対戦した智辯学園にはスラッガーとして活躍していた小坂監督も出場!
当時2年エースだった山本省吾を擁して準優勝したのが1995年の夏。山本はその後、慶応大を経て、計4球団でプレーし、通算40勝を挙げた。当時から山本はインステップ気味に踏み込み、左サイドハンドから投げ込むクセ球を武器にする技巧派だった。
この年の甲子園3回戦では左の速球派・吉年 滝徳(元広島東洋)擁する関西と対戦。吉年はその年のドラフト2位で指名されるほどの好投手だった。
準決勝で対戦した智辯学園は明治大、シダックスで活躍を収めた左の巧打者・庄田 隆弘(阪神)、現在、智辯学園の監督を務める小坂将商は奈良大会で、4本塁打を放ち、当時、大会個人最多本塁打を樹立。高校生を代表するスラッガーとして活躍していた。その後、母校の監督に就任し、岡本和真(巨人)、廣岡大志(ヤクルト)を始めとしたスラッガーを多く輩出。2016年には選抜優勝を果たした。
そして、決勝戦で対決した帝京には2年生右腕・白木隆之(三菱自動車川崎)がいた。
その流れで行くと、今年、星稜と対戦したチームも注目選手が実に多い。
初戦で対戦した旭川大高にはプロ志望の強打の捕手・持丸泰輝。3回戦で対決した智辯和歌山には、プロ志望の強打の二塁手・黒川史陽。捕手・東妻純平、さらに日本代表入りしたエース・池田陽佑。準々決勝で対戦した仙台育英にも、全学年で逸材を揃え、準決勝で対戦した中京学院大中京にもプロ志望の藤田健斗、148キロ右腕の赤塚健利らと注目選手が揃っていた。
そして決勝戦で対決する履正社はプロ注目のスラッガー・井上広大を中心にタレント揃いである。
星稜ナインをはじめ、対戦した選手たちも、次のステージでさらに脚光を浴びることを期待したい。
(記事=河嶋 宗一)
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