3年生座談会 豊田工業高等学校(愛知)「85人の部員全員で戦えたチーム」【前編】
この夏、愛知大会で並み居る私学の強豪校に割って入る形で、ベスト8入りした豊田工。2回戦では尾張の私学の精鋭・誠信を完封し、4回戦では好投手を擁する豊明に快勝。そして5回戦では昨秋の準優勝校で東海地区大会にも進出している桜丘に競り勝ってベスト8進出。そして、準々決勝では、前年優勝校の東邦に対して序盤リード。雷雨による中断で、流れが変わったものの、王者をヒヤリとさせる戦いぶりは、高く評価された。そんな戦いを、豊田工3年生たちに振り返ってもらった。
<メンバー>
主将・橋本 翔(捕手)
リードオフマン・小野 舜介(中堅手)
4番打者・酒井 健汰(投手兼一塁手)
一塁コーチャー・高木 章太郎(内野手)
戦いを終えた、自分たちのチームを振り返る
橋本 翔(豊田工)
――最初に、この夏を戦った自分たちのチームは、どんなチームだったのかということを紹介してください。
小野:キャプテンの橋本を中心として、みんなで戦っていける、とてもいいチームだったと思います。また、そんな戦い方が出来たのではないかと思っています。
――その、チームを引っ張っていく立場にもあった主将の橋本君としては、どんなチームだったと言えますか。
橋本:みんなが自分たちで積極的に動いていけるし、指摘し合っていかれましたし、チームとしてもまとまりもありました。
酒井:みんながリーダーシップを持っていたっていうか、85人の部員全員で戦えたチームでした。個人的には、2年生の横田(龍也)が出てきて、エース番号を獲られたっていう悔しさもありましたけれども…。自分は自分の役割(4番打者)もありましたし、チームとしてもよく戦えたと思いました。
―― 本塁打も打てたし、4番打者としては十分働けたという感じでしたよね。
酒井:はい、(少し照れながら)そうですね。
高木:チーム力ということで戦えたのだと思っています。ベンチにいても、スタンドの応援も大きくて、それも確実に力になっていたと思います。
苦しいスタートの秋、県8強を競う
小野 舜介(豊田工)
―― 新チームが出来た時に、どんな形のチームとしてスタートしていったのですか。
橋本:平松先生も、最初から「21世紀枠の代表は狙えるチームだぞ」というようなことは言われていましたから、そのことは意識していました。
小野:ただ、最初の西三河一次予選はよくなかったんです。
橋本:前の代も、全勝で一次予選は通過していましたから、それが当然だと思っていたのですが、それが出来なくて、かなり苦戦したという感じでした。
高木:一次予選で5試合やって、二次で2試合やって県大会に進んだという形でした。
酒井:ただ、試合数を重ねていくうちに、自分自身も調子を掴んでいけたし、チームとしても試合をしていきながらまとまっていったのではないかと思います。
橋本:県大会に入ってから、頑張れたという感じでしたね。
――秋季県大会は、今思えば、この夏ベスト4にも入っている豊橋中央にも勝っているし、やはり、チームの力はあったということは言えるのではないでしょうか。
橋本:はい。自分たちも、力はあるなと思っていたのですけれども、ベスト8決めの試合で東浦に競っていたけれども敗れました。(試合レポート)
――その東浦も、公立校で21世紀枠代表を意識してきていましたね。
橋本:そうだったんですね。自分たちは十分に勝てると思って、そんな展開で戦っていたんですけれども…。
――その敗戦を踏まえて、冬のトレーニングでは何を一番の目標、テーマとして取り組んでいたのでしょうか。
小野:ボクは、振り込みを中心としてパワーアップを目指していきました。そして、春には本塁打も打てるようにもなりましたから、確かにパワーアップは出来たと思いました。
橋本:ボクは身体が細かったので、ウエイトを増やしていってパワーをつけていくことを目指しました。食事も、ノルマを決めて、食べる量を意識して増やしていって、3キロぐらいはウエイトも増えていきました。
酒井:ボクは投手メニューの中でも、走り込みを一番に置いていました。何キロ走るということよりも、60mのコーンの間を3往復というのがあるのですが、それを5セットとか…。スタミナもついて行ったと思います。他にも、スクワットなど10種類くらいあるのですけれども、それをこなしていきながら、下半身強化が一番の課題でした。
冬の地道なトレーニングの成果はいかに?
赤ビブスを着てくれた高木 章太郎(豊田工)
――その成果は、具体的に感じられましたか。
酒井:それはありましたね。秋までは、10割の力で力まないと投げられなかったような球が、春には8割の力で投げられるようになりました。それだけ投球にも、余裕が出来ていきました。
――8割の力で投げられるようになると、しなやかさも出てくるようになりますよね。
酒井:はい、そうですね。それは、自分でも感じていました。下半身を使えるようになったという感じはありました。
高木:ボクも走り込みを中心としてやっていました。それに、自分としては、秋はメンバーから外れたという悔しさもありましたから、何とか努力してベンチ入りしなくてはいけないという思いもありました。頑張る目標として、豊田工の場合は「赤ビブス」というのがあるのですが、それを毎週貰えるようにと頑張りました。
――「赤ビブス」とは…?
高木:これは、その週で一番頑張っていた選手を1番から20番まで、マネージャーが推薦して決めていって、選ばれた選手は「赤ビブス」をつけて練習することが出来るんですね。そうやって仲間から評価されるということを目標としていました。
――それは、毎週選ばれるんですか?
高木:はい、だから、それを励みにまた努力していくようになるんです。
橋本:それを1番から20番まで、選んでいくんです。ですから、それを目指してまた努力していくということで、チーム内での励みにもなりましたね。
小野:これは、冬の間のトレーニングの励みの目標にもなっていきます。
橋本:それが、チーム全体の底上げにもなっていますし、それぞれの意識を上げていくということにもつながっていると思います。
後編では夏の大会の模様を振り返っていきます。
(構成/手束 仁)
■関連記事
【僕らの熱い夏2017 特設ページ】