<令和7年 春季関東地区高校野球 埼玉県大会:川越東11-2松山(7回コールド)>◇1日◇準々決勝◇埼玉県営球場

 前の試合でAシード・西武台を破った川越東と、吉田兼梧(2年)と翔棋(2年)の双子の兄弟・吉田ツインズ擁する松山との一戦。

 吉田ツインズは昨春1年生で共にスタメンに入り話題を集めた。当時は兼梧が主にショート、翔棋がキャッチャー。兼梧はその後、投手として既に昨夏登板しており2年生ながら経験は十分だ。さらに言うと、松山川越東は昨春、旧チーム同士であるが県初戦で対戦しその時は4対2で川越東が勝利している。

 今回はその吉田ツインズがどこまで成長し、それに対し川越東打線がどう相対するのか注目が集まったが、川越東が序盤で攻略してみせた。

 川越東は2回表、この回先頭の関口卓心(3年)が四球で出塁すると、続く下田琉惺(3年)がレフト線へ適時二塁打を放ち先制。さらに直井琉星(2年)の犠打が内野安打となりチャンスが広がると、その後、斎藤優太(3年)の適時打や中島都亜(3年)の2点適時打などでこの回一挙4点を奪い試合の主導権を握る。

 川越東は4回表にも多田宗真(2年)の犠飛で1点を追加し早々に5点差をつけるが、先発・直井がピリッとしない。

 その裏、この回先頭の吉田兼にライト前ヒットを浴びるとそこから吉田翔、林大河(2年)、嶋口魁(2年)、石畝大翔(2年)にヒットを打たれるなど、この回5安打を浴びる。だが、センター中島の好返球やショート星智貴(3年)の好守備などで何とか1点で凌ぐ。

 この回が勝負の分かれ目となる。

  直井は5回にも吉田兼に適時内野安打を浴び1点を失うも結局ヒット9本を浴びながら2点で凌ぐ。

「一回落ち着こうと、選手達で話し合っていた。そういう所も含めて主体性が見えた」(岡田監督)

5回裏終了後の整備中に選手達で修正すると、その後は

「キャッチャーの下田から提案があり考えが一致した。直井はもうちょっと引っ張れたら良かったですけど、5回までよく持った。1,2点の取られ方が悪かったので代えました」(岡田監督)

と、6回からエース梅澤逞(3年)をマウンドへ送る。梅澤がきっちりと抑えると、打線も6回表、名久井渉(3年)の犠飛で1点を追加。7回には柳賢心(3年)のヒットを足がかりとし、関口、梅澤、齋藤、名久井と4長短打に四球を絡め一挙5点を奪う。

結局、川越東が松山に7回コールド11対2で勝利し準決勝進出を決めた。

 川越東は今大会打線が好調。この日も14安打のうち長打5本と破壊力も見せ、春は10年ぶりのベスト4進出。

「ある程度点を取られることは想定した中で、今日はたまたま序盤で点数を取れたので楽な展開に持ち込めた。選手達が狙い球を絞って振れている。現状ロースコアの展開は現実的ではないので、ある程度攻撃的に試合を運ぶことがベストなのかなと」

と、怪我人が多い現状ながら就任1ヶ月でチームをベスト4へ導いた岡田監督はリアリストな部分も持ち合わせる。

 とはいえ、次の相手は優勝候補大本命の浦和学院が相手だ。昨秋の対戦では中盤まで接戦もその後守備が乱れコールド負けを喫した。

「次はしっかり野球がしたい。失点を最小限に食い止めることができたら」

と、岡田監督はリベンジを誓った。