試合レポート

【東京】代表決定戦 都立日野 vs 日本ウェルネス東京

2023.09.17


都立日野がコツコツ安打を積み重ね、日本ウェルネス東京を圧倒

<秋季東京都高校野球大会1次予選:都立日野16-6日本ウェルネス東京(8回コールド)>◇16日◇代表決定戦◇八王子高校柚木野球グランド

都立の強豪・都立日野と、夏は東東京大会のベスト16まで勝ち進んだ日本ウェルネス東京の対戦。日本ウェルネス東京はメンバーの多くが入れ替わったのに対し、都立日野は野手を中心に夏のメンバーが残った。「打てないチームでしたが、パワーもついてきて打てるようになってきました」と都立日野の嶋田雅之監督は手ごたえを感じる。

都立日野の打線は、初回から威力を発揮する。1回2死二塁から4番の池島 悠空の中前適時打で都立日野が1点を先制する。「何とか食らいつこうと思いました」と池島は言う。その後、敵失もあり2死二、三塁とし6番・平沢 仁一郎の中前安打で2人が生還する。

2回に1死二塁となったところで、先発のエース・外崎 健次郎は降板する。エースの早々の降板は、日本ウェルネス東京にとっては想定外の事態だ。この回代わった高橋 和之から都立日野の2番・井川 拓海が左前安打を放ち、1点を追加する。

しかし都立日野の先発・小林 豪もピリッとしない。制球の良さを評価され先発した小林だが、嶋田監督が、「いつものコントロールがない」という状態。3四球で2死満塁とし、代打・山下 竜毅の右前安打で日本ウェルネス東京が1点を返す。1番の濱田 竜志には死球で押し出し。2番・川井 隆矢の左前安打で1点を返し追い上げる。

日本ウェルネス東京の追い上げムードを断ち切ったのは、3回途中から登板した背番号1の山口 航だった。一時は1死満塁のピンチにもなったが、この回無失点に抑え、都立日野に流れを取り戻した。その後も、山口の好投は続き、日本ウェルネス東京の反撃を許さない。

もっとも都立日野も、なかなか追加点を奪えなかったが、7回に1死二塁から8番・長谷川 太智の右前安打に敵失も重なり、都立日野は追加点を挙げる。

貴重な追加点を挙げた都立日野は8回に二塁打2本を含む9安打、打者一巡の猛攻で11点を加えた。この試合、二塁打を含む2安打に1犠飛の4番・池島は、この秋の成長を、「ボールの見極め」と答えた。今年セ・リーグを制した阪神の岡田彰布監督が四球の重要性を強調していたが、都立日野の池島も、決して消極的ではないが、しっかり見極めることを意識して打席に立ち、成果を上げている。

大量リードを得た都立日野は8回に控えの投手を登板させたが、3点を失った。それでも大量リードが物を言って、都立日野が8回コールドで勝利した。

ただ日本ウェルネス東京都立日野の投手が控えに代わったからとはいえ、試合を捨てていなかったからこそ奪えた3点であり、今後の練習の励みになるはずだ。

都立日野は都立校の中では、抜き出た存在だ。福島靖助監督は、「前向きで、本気で勝ちたいと思っている」と語る。もちろんどのチームも勝ちたいと思っているはずだが、そのために、どこまで真剣に取り組むかが重要だ。このところの大会では、都立勢があまり結果を残していない。「都立が低迷している」と嶋田監督も危機意識を持っている。山口という好投手がいて、打線も大物打ちの感じはないが、この試合でもみせたようにコツコツと安打を重ねる。「都立の星」が、どういう試合をするか。ほかの都立校も注視しているはずだ。

取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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