【大学準硬式】準決勝 大阪経済大 vs 慶應義塾大
【準硬式】野球は高校で引退すると思っていた…強豪・大阪経済大の主将が成長を見せる一打で決勝進出に貢献
<第75回全日本大学準硬式野球選手権記念大会:大阪経済大2ー1慶應義塾大>◇27日◇準決勝◇くら寿司スタジアム堺
近年、全国大会の常連となりつつある大阪経済大が決勝進出を決めた。21年大会で優勝すると、22年は準優勝と結果を残し続け、今大会もベスト4進出。準決勝では149キロ右腕・日比谷 元樹投手(4年=慶應義塾)を擁して61年ぶりの4強入りとなった慶應義塾大を、2対1の熱戦の末に下した。
5回が終わって0対1と、ビハインドの展開で前半を折り返した。重い1点かと思われたが、グラウンド整備明けの6回にチャンスを作った。9番・高橋 寛多外野手(4年=徳島商)の安打などでチャンスを作ると、1死一、二塁から、主将の3番・高山 直之内野手(4年=日本航空石川)が打席に入る。
「追い込まれてしまったので、反応で打ちました」と低めの直球を捉えて中前へはじき返した。普段から培った走塁の成果もあり、二塁走者が生還。同点に追いついて勢いに乗ると、5番・外間 隆之介外野手(4年=三田松聖)の適時打で逆転。これが決勝点となり、大阪経済大が3大会連続で決勝進出を決めた。
「今年は力のない世代でした」と中野監督が振り返るように、今大会は大阪第4代表で大会に臨んでいる。近年結果を残しているとはいえ、今大会はチャレンジャー精神で決勝まで上り詰めた。
例年と比較して打力がないものの、走力を生かす戦いで勝ち上がってきた。春からチーム事情で主将になった高山も、ここまで苦労を重ねてきた。
小、中学では主将を経験。日本航空石川でもレギュラーとして活躍した。ただ、当時は星稜・奥川 恭伸投手(現ヤクルト)などのライバルの前に甲子園は届かずに、高校野球を引退。自身の実力や勉強との両立を考えて、野球にも区切りを付ける予定だった。
しかし、「準硬式はどうだ」と監督からの説得をうけて、大阪経済大の準硬式に進んだ。あまり世界観は理解していなかったが「イメージと違って、非常に野球熱が高くて、熱い世界だったので、衝撃でした」と当時を振り返る。
周りの熱量に感化された高山は、「一生懸命、本気でやろう」と再び自身を奮い立たせ、主力の座を勝ち取り、主将にまで抜擢された。1つ上のチームと比較すると、「打力は低く、ビハインドをひっくり返すだけの実力はありませんでした」と厳しいスタートだった。しかし、厳しい練習の中で心身ともに鍛え上げ、「徐々に精神力は強くなり、劣勢をひっくり返せる実力を付けられた」と接戦に強いチームに育った。
準決勝でも、ビハインドの展開になってもチームは焦らず、慶應義塾大に食らいついた。そして一打同点の場面で打順が回ってきた高山主将は、「打ってやる」と自信をもって打席に入って、チームに勢いを与えた。
「最後はメンタルだと思います。石川から大阪にやってきているので、私生活でも鍛えられたと思います」と冗談交じりの笑みを浮かべたが、決勝戦の日本大戦に向けての話になると、表情を引き締め「去年は何もできずに負けたので、どこよりも日本一への思いは強いです」と決意を口にしていた。