試合レポート

【大学準硬式】準決勝 久留米大 vs 関西大学人間健康学部

2023.09.04


福岡の公立出身の逸材が活躍!久留米大は144キロ右腕と4年生スラッガーの活躍で決勝へ

<清瀬杯第55回全日本大学選抜準硬式野球大会:久留米大5ー4関西大学人間健康学部>◇4日◇準決勝◇石川県立野球場

 8月に大阪で開催された全日本大学準硬式野球大会に並んで、大学準硬式野球界の全国大会である清瀬杯。各地区のリーグ戦などで好成績を残した精鋭だけが出場しているが、準決勝の久留米大と関西大学人間健康学部の一戦は、まさに好ゲームだった。

 後攻の久留米大は3回に1死満塁のチャンスを作ったところで、4番・小山田 翔太内野手(太宰府出身)の適時二塁打で3点を先制。試合の均衡を崩すと、4対2で迎えた5回には「切れるかと思いましたが、そのまま伸びてくれた」という小山田の打球は左翼席へ届くホームラン。全国大会初のホームランで、久留米大は中押しに成功した。

 小山田は高校時代、激戦区・福岡の太宰府でプレー。副主将としてチームを牽引したが、上位進出ができないまま高校野球を終えた。

 久留米大進学後も野球の継続は考えていたが、「社会勉強もしたい」ということでアルバイトも両立できる準硬式野球を選択。入学してから準硬式の世界を知ったので、「ここまで真剣勝負の世界とは知らなかった」と衝撃があったと同時に、佐賀北など強豪出身の周りのレベルの高さに焦りがあった。

 ただ「誰にも負けたくない」とあきらめなかった小山田は、アルバイトが終わってから22時半頃から自宅で素振りをした。

 投手をしっかりとイメージして、間合いを作ったうえでスイングし続けて、武器の打撃を磨いた。その成果もあり、徐々に力を付け、1年生の秋からベンチ入り。そして現在はチームの4番を任されるようになり、集大成となる全国大会でホームランを放ってみせた。

 その後、試合は6回、関西大学人間健康学部に2点を返され、5対4と1点差に詰め寄られる。なおもピンチが続いたところで、2番手・小田 悠介投手(筑紫中央出身)がマウンドに上り、流れを変えた。

 ムチのようにしならせた右腕から最速144キロを誇る直球を軸に、関西大学人間健康学部を力で抑え、同点を許すことなく、チームを勝利に導いた。

 「調子はあまり良くなかった」というが、コーナーを突く投球には爽快感があった。筑紫中央で3年間をやり切った小田は1度引退して野球から離れていた。ただ「やっぱり野球がやりたい」と大学2年生の時に再確認して、大学準硬式を選択した。最初は感覚を取り戻したり、下半身の使い方や筋力不足に苦労したが、オリックス・山本 由伸投手(都城高出身)を意識した立ち投げに近いフォームで、徐々に能力を伸ばしていき、主力選手へ。この試合でも、その能力は十分に感じられた。

 福岡の公立校から大学準硬式に進み、全国の舞台で揃って活躍した小山田と小田。決勝戦の舞台でもその実力を発揮する。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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