試合レポート

【大学準硬式】準々決勝 日本大 vs 中京大

2023.08.27


【準硬式】1年生ながら優勝投手となったサブマリンが好リリーフ、日本大が中京大との熾烈な投手戦を制す

<文部科学大臣杯第75回全日本大学準硬式野球選手権記念大会:日本大3ー1中京大>◇26日◇準々決勝◇南港中央

22年大会に続き、大学準硬式の日本一を目指す日本大が、東海地区の強豪・中京大との投手戦を3対1で制した。ベスト4進出が決まり、準決勝ではライバル・中央大との東都リーグ対決が実現した。

2回に中京大の8番・佐内 優斗捕手(3年=大分雄城台)に適時打を許し、日本大は追いかける展開。4回に相手の守備の乱れで追いついて前半を折り返すと、後半も緊迫の攻防。1点を争う試合展開の中で7回、中京大バッテリーのミスで勝ち越しに成功すると、8回には日本大6番・山本 創也内野手(3年=桜美林)の適時打でダメ押し。日本大が投手戦を制した。

互いに投手陣のレベルが高く、1歩も譲らない投手戦。準々決勝ではもったいない対戦カードだった。

日本大は古賀 涼平投手(4年=佐賀商)、中京大は西村 祐人投手(3年=中京大中京)が先発。どちらも右のオーバースローの速球派で、4回を投げきって降板した。

古賀は全身を使ったフォームから、直球と切れ味鋭いスライダーを投げる。浮いたところを狙われたが、低めに集まった時は攻略が難しい。西村は細身ながらも、鋭く右腕を振り抜いて、伸びる直球を投げるタイプで、直球の勢いで詰まらせるシーンが多く、かなり球が走っている印象を受けた。

その後、日本大は2番手として足立 丈投手(2年=日大豊山)が登板。5回無失点の完璧なリリーフで勝利に導き、勝利の立役者となった。

22年の大会では1年生ながら優勝投手になった期待の逸材。右アンダースローという武器を生かした高低と緩急を駆使した投球で活躍した。中京大戦でも、そのピッチングは健在で、相手打線の勢いを止めた。

主にリリーフ登板が多い足立は、この試合も「マウンドに上がるときは緊張しました」とヒリヒリした試合に刺激を受けていたが、マウンドに上がれば、成長した力強い投球を存分に見せた。

優勝投手になったことで、見えたのは球速差だった。

「緩急が武器の1つなので、球速を伸ばせば、球速差がもっと付けられる。自分のピッチングの幅が広がると思い、1年間トレーニングしてきました」

トレーナーの指導を受けながら、スクワットなどで下半身を重点的に強化。体重も3キロの増量に成功し、一回り逞しい体になった。すると、課題だった「フォームにタメを作る」動きも、筋力強化で表現できるようになった。さらに、膝を地面にすってしまうほど深く沈みこめるようになり、リリース位置が下がって高低差も生まれた。下半身をしっかりと使って投げるフォームを覚え、自分の強みをより伸ばすことに成功した。

次戦は中央大とのライバル対決となる。

一方、敗れた中京大は2番手・一ノ瀬 順輝投手(4年=東明館)、3番手・道崎 亮太投手(4年=東邦)の継投だった。一ノ瀬は右サイドハンドで、テークバックはコンパクトで球の出どころが見えにくいだけではなく、腕の振りも鋭い。直球の球威は十分で、2.2回をしっかり抑えた。

最速147キロ右腕の3番手・道崎は東邦時代にセンバツ優勝を経験したキャリアを持つ。角度を付けた躍動感あふれる投球フォームが特長的だが、直球を武器に大学準硬式でもトップの投手であることを証明した。敗れたものの、たしかな爪痕を残して、大会を去った。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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