試合レポート

【滋賀】準々決勝 彦根総合 vs 綾羽

2023.07.25


<第105回全国高校野球選手権滋賀大会:彦根総合7ー3綾羽>◇24日◇準々決勝◇マイネットスタジアム皇子山

春夏連続の甲子園出場を目指す彦根総合綾羽との激戦を制して初の夏4強入りを果たした。

序盤に主導権を握ったのは綾羽だった。3回戦の米原戦で自己最速の141キロを計測した先発の川那辺 葵斐投手(3年)は、この日も球場のスピードガンで140キロを計測。力のある速球を軸に走者を出しながらも粘り強い投球を見せる。

すると綾羽は2回、2本の安打で2死一、三塁のチャンスを作ると、9番・川那辺の右前適時打で先制点を奪う。だが、それ以降は彦根総合のエース・野下 陽祐投手(3年)が得意のスライダーで綾羽打線をねじ伏せ、追加点を許さない。

試合は1対0と綾羽リードのまま5回を終えたが、6回から試合が大きく動く。6回の彦根総合は連打と犠打で1死二、三塁のチャンスを作ると、7番・脇本 悠月外野手(3年)の右前適時打でまず同点。さらに1死一、三塁から8番・森田 櫂捕手(3年)がスクイズを決めて勝ち越しに成功した。

7回には、この回からマウンドに上がった綾羽の2番手・中野 一稔投手(3年)に対して四球と安打で1死一、二塁のチャンスを作る。これ以上得点を与えたくない綾羽はこの場面で最速146キロ右腕のエース・野川 新投手(3年)を投入した。

「60%くらいの状態」と本来の出来ではない野川だが、「チームとしても苦しい状態だったので、絶対に自分が抑えてやるという気持ちでマウンドに上がりました」と気迫の投球を見せ、4番・蟹江 星允内野手(3年)と5番・上田 大地内野手(3年)をそれぞれ左飛に打ち取って、このピンチを乗り切った。

しかし、不調は隠せず、8回には死球からピンチを広げると、1死一、三塁から9番・野下にスクイズを決められ、リードを2点に広げられた。

終盤に大きな追加点を奪われた綾羽だが、8回に四球と安打で無死一、二塁とチャンスを作る。すると、ここで彦根総合は野下を一塁に回し、背番号10の勝田 新一朗投手(3年)をマウンドに送った。

だが、勢いに乗った綾羽は5番・熊木 悠斗内野手(3年)のバントヒットで満塁とすると、6番・北邑 流星内野手(2年)の右前適時打で1点差とする。さらに7番・北川 大夢内野手(2年)の中犠飛で同点に追いついた。

なおも1死一、三塁と勝ち越しのチャンスが続く中で、打席に立つには途中出場の櫻井 伯斗内野手(3年)。彦根総合の宮崎裕也監督は「どのタイミングでスクイズが来るかな」と警戒していたそうだが、強行策に出て、結果は遊飛。さらに野川の代打で登場した布施 龍門(3年)に対しては「絶対に打たせたら相手に流れが行きますし、一つギアを上げて三振を取りました」(勝田)と狙い通りにスライダーで空振り三振を奪い、勝ち越しは許さなかった。

綾羽は9回から「信頼のあるピッチャー」と千代純平監督が評する武村 晴輝投手(2年)が登板。しかし、彦根総合はその武村から1死満塁のチャンスを作り、打席には勝田が入る。勝田は最初からバントの構えを見せ、スクイズをどこかのタイミングで仕掛けるのではないかと思わせたが、「けっこう勝田はバスターから打つんです」と宮崎監督の出したサインは強行策。「絶対に外野に打球を飛ばしてタッチアップで1点をもぎ取ろうと思っていました」(勝田)と放った打球は右中間を破り、走者一掃の3点適時二塁打で大きな勝ち越し点を奪った。

彦根総合はその後、相手の失策で1点を加えると、その裏を再登板した野下が無失点に抑え、彦根総合が勝利をもぎ取った。

準決勝では第2シードの滋賀学園と対戦する。「滋賀学園が今大会は一番強いと思っています」と宮崎監督は警戒している様子。2回戦の瀬田工戦、準々決勝の綾羽戦に続いて激戦が予想されるが、春夏連続の甲子園出場に懸ける執念が結実するか。

一方、プロ注目の投手である綾羽の野川は「今はまだまだだと思いますが、プロ野球選手を目標に頑張っていきたいと思います」と大学からプロを目指す可能性が高いことを明かした。綾羽の1年生には投げ方や背丈が似ているという弟の樹がいる。「高校野球を引退しても練習には顔を出していくので、弟をしっかり成長させて、弟にも背番号1をつけてほしいなと思っています」。甲子園初出場の夢は弟に託されることになった。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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