試合レポート

4回戦 半田 vs 蒲郡

2023.07.23


SCORE
半田
蒲郡
1234567891011121314
1 0 0 1 2 5 0 1 1
1 0 0 0 0 6 0 0 1
TOTAL
11
8

半田が大量リードを追いかけられながらも蒲郡を振り切る

<第105回全国高校野球選手権愛知大会:半田11-8蒲郡>◇22日◇4回戦◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム

全国最多の173チームで争われた愛知大会だが、32校が残った4回戦となった。その内訳は、公立校が10校のみとなってしまった。やはり、今の時代の私学有力という現象は愛知では特に顕著だ。そんな中で、4回戦のうち、3試合で公立校同士の対決となったが、そのカードの1つである。

今年から、メジャーリーグで活躍するメッツ・千賀 滉大投手の母校として一躍、全国にも知られることになった蒲郡。東三河では健闘している公立校だ。そして、知多地区では近年好結果を残している、地域一番の進学校としての評価も高い半田である。

初戦で昭和にサヨナラ勝ちして勢いに乗る半田は、3回戦でも福江を下した。そして、この試合でも、初回、2死二塁から頼れる4番・中村 迅汰捕手(2年)が中前打して先制。しかし、その裏の蒲郡も失策の走者を4番・原田 虎俐栖外野手(3年)の右中間三塁打で同点とする。こうして初回に1点ずつ取り合った試合は4回、半田は1死一、三塁でスクイズ失敗となり、2死二塁となったところで、6番・久村 大地外野手(2年)が右翼線へ落す二塁打を放って、二塁走者がかえり半田がリード。さらに5回にも千葉 倖生外野手(3年)の三塁打と3番・新美 恒河内野手(3年)の右前打で2点を追加した。

こうして半田3点リードで前半が終了。その後、今大会から導入されたクーリングタイムとなるが、後半の開始となる6回に試合が動くというケースも多くなっている。この試合でも、その6回の攻防が、これまでの試合の流れとは全く違うものとなってしまった。

半田はこの回から蒲郡の酒井 悠輝投手(3年)が右翼手へ回り、登板した平方 晄太投手(2年)に対して、バント内野安打と連打で得点。平方が下がり、3人目の山中 陸投手(2年)となったが、蒲郡のバント処理の乱れなどもあって、さらに2番・佐々木 大雅内野手(3年)の安打と犠飛でこの回一挙5点が入り、8点差。このまま2イニングを0に抑えたらコールド勝ちという状況になった。

ところがその裏、蒲郡は猛反撃する。1番からの好打順だったが、先頭の伊藤 廉内野手(3年)が二塁打で出ると、3番・山出 益来内野手(2年)も左前安打を放ち、1死一、三塁とする。ここで半田の石黒薫監督は、「こういう展開だったので、コールドにしていかないかんと思って、左打者のところで、早めに用意させていた石原を送った」ということだったが、そのエースナンバーを背負う2年生の石原 蒼大投手(2年)が2ストライクと追い込んでから三遊間を破られ1点を許す。さらに、2死となってから暴投と四球、さらに渡邊 丞英内野手(3年)のポテン安打と振り逃げ暴投などもあり、代打・木谷 雄太捕手(2年)が三塁打して6点が入った。半田としては、コールドどころか一転、勝ちも危うい状況になってしまった。

それでも、半田は8回に2番・佐々木の適時打で貴重な追加点。そして、9回にも安打の中村が二盗して悪送球で三塁へ進んだ無死三塁から、途中から出場していた早川 明伸内野手(3年)の中犠飛で追加点を挙げた。

しかし、食い下がる蒲郡はその裏、伊藤廉のこの日2本目の二塁打で1点を返した。さらに、上位打線が続いていたが、石原がしっかり投げて、半田は大勝ムードから、一瞬冷や汗となりながらも、何とか逃げ切ることができた。

石黒監督は、「こういう展開は疲れました。それでも、これでベスト16まで残れたのはよかった。連戦になるけれども、私学の強豪に立ち向かいたい」と思いを述べていた。リードオフマンとして2安打して、三塁打も放った千葉主将は、「チームはショートの佐々木と2人主将としてやっているですが、春先の練習試合では悩んだりしたこともありましたが、2人で毎日よく話して、今は自分たちの練習してきたことを信じています。目標はベスト8ですが、明日の相手は強いですが、何とかそこへ行きたい」と、目を輝かせていた。

また、6回途中まで好投した先発の 河村 遥人投手(3年)は、「ストライク先行でテンポよく、狙い通り内野ゴロを打たせて取る投球ができた。100点満点で80点くらいの内容だったと思います」と、嬉しそうに語っていた。しかし、「6回は、大量点があったからというワケではないですが、先頭に甘いところへ投げてしまい、それを二塁打されてしまいました」と、反省も忘れていなかった。

大きくリードされてもひるまず食いついていった蒲郡。大谷卓司監督は、「点差が開こうが、ベンチのムードは変わりませんでした。むしろ、より元気で明るくなったみたいでした。大味な展開になりかかったけれども、細かいところもきちっとやっていってくれて、選手たちは本当によく練習する、いい選手たちで、よく頑張ったと思います」と、選手達を称えていた。

取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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