5回戦 帝京 vs 岩倉
岩倉勝利の瞬間
エースで4番で主将の大野の活躍で岩倉 春の王者・帝京を破る
<第105回全国高校野球選手権東東京大会:岩倉6-5帝京>◇21日◇5回戦◇神宮
春季都大会で優勝し、2011年以来の甲子園出場を目指す帝京にとって、最初のヤマが岩倉戦であった。岩倉はノーシードながら、エースの大野 巧成投手(3年)を中心に攻守にまとまりがあるからだ。そして迎えたこの一戦、試合を動かしたのはやはり、エースで主将で4番打者の大野だった。
帝京の先発は安藤 翔投手(3年)。背番号10ながら十分な実績のある投手だ。しかし1回、岩倉は2番・高橋 梁内野手(2年)が中前安打で出塁すると、3番・島﨑 裕嵩内野手(2年)のバントは内野安打になり、打席に4番・大野が入る。ここで大野は右翼への二塁打を放ち岩倉が先制する。
2回は三塁手の失策に、7番・小林 莉久外野手(2年)の内野安打で一、二塁とし、8番・浅沼 奏吾外野手(3年)の犠打、9番・赤星 幸弥外野手(3年)の犠飛で1点を追加する。3回は1死一塁から、4番・大野の前の打席に続く二塁打で二、三塁となる。帝京はここで安藤からエースの高橋 蒼人投手(3年)にスイッチする。それでも岩倉は、5番・堀田 秀哉内野手(3年)の中犠飛で1点を追加する。
じわじわと点差を広げる岩倉に対し、帝京はなかなかチャンスを作れない。「1人1人動画を見ました」という大野は丁寧な投球で好投する。
岩倉も帝京の投手が高橋に代わってからは、抑えられていたが、6回にこの回の先頭打者である大野が二塁打を放つ。大野は投球だけでなく、打っては3打席連続二塁打と驚異的な活躍を見せる。その後、2死になったものの、7番・小林が三塁打を放って1点を追加。8番・浅沼も内野安打を放ち、この回2点を追加する。
帝京は6回、9番・生井澤 海里捕手(3年)の内野安打に敵失や四球で満塁とし、3番・西崎 桔平内野手(2年)の右前安打で1点を返す。さらに内野安打2本で2点を加え、追い上げる。
それでも岩倉は、8回堀田が本塁打を放ち、突き放す。
暑さの中、好投していた岩倉の大野の足が吊り始める。大野は水分を補給しながら必死の投球を続ける。9回、帝京も執念をみせる。1死後、6番・大石 和輝外野手(3年)が中前安打で出塁すると、代走に城田 陸外野手(2年)を送り、城田は二盗に成功する。そして代打・川本 虎太朗内野手(3年)の中前安打で1点を返す。さらに代打・平塚 龍海内野手(3年)の左前安打に、1番・野村 亮太外野手(3年)も左前安打で続き1点を返し、1点差に迫る。しかし2番・奥山 悠仁内野手(2年)は二ゴロに倒れ、試合は終わった。
試合後、帝京の金田優哉監督は、「向こうの先取点に気迫を感じました。大野君はいいピッチャーですが、その前に打席で打たせて乗せてしまいました。粘りはみせてくれましたが…」と沈んだ声で語った。1年生の夏から試合に出ている高橋蒼人や稲垣 渉外野手(3年)らの好選手を擁し、前田三夫氏からバトンを受け継ぎ育ててきた代だけに、金田監督は、このメンバーで甲子園にという思いは強かった。この代での甲子園はかなわなかったが、過去の名将たちも、敗戦を経験することで強くなった。今回の敗戦も、その過程だと信じたい。
一方、勝った岩倉の豊田浩之監督は、「大野は辛抱強く投げました。監督は選手の邪魔にならないよう、言うことは必要最小限にしました」と語る。準々決勝に進出すると、甲子園もちらついてくるが、大野は「上を見ないで、一戦一戦全力で戦いたいです」と語った。
取材=大島裕史
すぎうらりょうた
2023-10-18 at 2:31 PM
がんばりなさいいわくら
すぎうらりょうた
2023-10-18 at 2:31 PM
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