試合レポート

日大三vs東京成徳大高

2023.04.24

東京成徳大高 善戦はしたものの 強打・日大三の重圧による序盤の大量失点が響く

日大三vs東京成徳大高 | 高校野球ドットコム
2回本塁打を放った日大三・岡村

<春季高校野球東京都大会:日大三9ー3東京成徳大高>◇23日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子

 日大三東京成徳大高の一戦は、序盤の2回を除けば、ほぼ互角の展開だったが、序盤の失点があまりに大きく響いた。

 東京成徳大高は、森田正裕監督が成長の期待も込めて背番号18の大野 悠馬投手(3年)をマウンドに送った。大野にすれば、相手がいくら強力打線の日大三とはいえ、外角ばかりを攻めるわけにはいかない。内角を厳しく攻めるつもりが死球になった。

 1回、日大三は2死球と四球で1死満塁となり、今大会当たっている池内 仁海外野手(3年)が三塁打を放ち、満塁の走者がすべて還り、3点を先制する。「インコースの真っ直ぐ。逆らわずに打てました」と池内は言う。

 2回は1死二塁から2番・清水 蒼天外野手(3年)が左前安打を放ち日大三が1点を追加。さらに3番・二宮 士内野手(3年)も内野安打で出塁し、4番・岡村 颯大内野手(3年)が右中間のスタンドに入る3ランを放ち、この回も4点を入れる。「真ん中低めの真っ直ぐです。引き付けてしっかり回せました」と岡村は本塁打について語る。

 2回が終わって7―0。日大三の一方的な展開になったが、東京成徳大高は、3回、大野への代打・古田 睦貴内野手(2年)が二塁打を放ち、2番・中 健斗外野手(3年)の左前安打で還り、1点を返す。

 その裏からマウンドに上がった横手投げの田中 琉斗投手(3年)が好投。中盤走者は出すものの得点は許さず、コールドゲームになりそうな展開でも持ちこたえる。

 6回は2本の安打で1死一、三塁とし、7番・小尾 涼介内野手(3年)がスクイズを決めて1点を返す。得点差があっても、大きいのを狙わずに、小技で1点ずつ返していく東京成徳大高のスタイルを貫き、追い上げる。

 田村に抑えられていた日大三は7回に8番・大賀 一徹捕手(3年)の二塁打に1番・古賀 也真人内野手(3年)の右前安打で1点を追加。8回は、1死一塁からまたも池内が二塁打を放ち1点を追加する。

 東京成徳大高も8回に4番・篠原 一誠内野手(3年)の三塁打に、6番・大向 利幸捕手(2年)の中犠飛で1点を返したものの、日大三谷亀 和希投手(2年)、増田 竜輝投手(3年)、安田 虎汰郎投手(3年)とつなぎ逃げ切った。

 2回が終わった段階では、日大三の大勝かと思われたが、東京成徳大高は踏ん張った。「9回まで試合ができたことと、3点取れたことが収穫です」と東京成徳大高の森田監督は言う。8強に残ったことで、東京成徳大高は、夏は強豪校の証である四隅のシードが確定している。東京成徳大高の躍進を支えているのが、主将の西 絆斗内野手(3年)をはじめ、中、篠原という奄美大島出身の3人だ。3人はアパートで共同生活をしている。西主将は夏に向けて、「シードは確定していますが、背伸びせず、一戦一戦戦いたい。ベスト8以上に行きたいです」と語る。

 日大三は中盤は思うような試合ができなかったが、準決勝に向けて三木有造監督は、「この1週間、死に物狂いでやらせます」と語る。

 二松学舎大附が3回戦で敗れ夏はノーシードになるなど、波乱もあった春季都大会だが、準決勝は、関東一日大三帝京早稲田実業という東京の高校野球を代表する伝統校による好カードになった。

(取材=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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