桐朋vs都立光丘
東大など難関大へ合格者を輩出する進学校・桐朋に高卒プロを狙う二刀流!その能力の高さは本物
森井 翔太郎(桐朋)
<春季東京都1次予選:桐朋22-2都立光丘>◇12日◇桐朋グラウンド
1回表、都立光丘は2点を先制したが、1回裏、桐朋は内野ゴロ、犠牲フライで同点に追いつき、5番久保 朝陽内野手(3年)の2ランで4対2と勝ち越し。さらに1点を追加し、5対2とする。その後も打線が爆発し、22対2で圧勝した。
桐朋は東大進学者を輩出するなど進学校として知られる。そのチームに高卒でプロ野球選手を目指す強い志と能力の高さを持った選手がいた。その名が森井 翔太郎投手(2年)だ。183センチ、82キロと他の選手と比べても明らかに体格が違うのはもちろん、プレーにおいて躍動感がある。そんな森井は3番三塁手で出場した。
森井の第1打席はニゴロ失策。そして、第2打席目に快音が響いた。
「カーブでしたが、うまく引っ張ることができました」と振り切った打球は桐朋グラウンドの右翼席へ大きく超える本塁打となった。その後も、左翼線を破る二塁打、左中間を破る痛烈な二塁打を放った。スクエアスタンスで構える姿は雰囲気があり、トップを取ってからインパクトまで無駄のないスイングができている。スイングスピードの速さ、スイングを行った時の体の回転速度も尋常ではない。モノが違うというのが分かる。
桐朋中では軟式でプレーしていたが、あまりのインパクトの強さに球が潰れることがあったという。硬式に転向してからは、当然のように本塁打連発。投手が投げる実戦打撃以外の打撃練習では木製バットを使用して、打撃練習をしている。
守備も軽快で、打球に対する反応が早く、球際の強さ、難しい体勢からでも強い送球ができるフィジカルの強さがある。
凄いのは野手だけではない。投手としても能力が高く、強いこだわりを見せる。セットポジションから始動し、外旋が大きい腕の振りから繰り出す直球は、常時135キロ〜143キロを計測。球速が測れる球では最速150キロがでたというが「神宮球場など、しっかりとした球場で150キロを出したいです」と目標を掲げた。
桐朋は東大などへ難関国公立大、難関私学大へ進む選手が多いが、森井は高卒で「プロ野球選手」になることを目指している。
「プロに進むのに、自分は進学校も、強豪校も関係ないと思っています。あくまで自分がどれだけアピールできるかが大事だと思っています」
同校を率いる田中監督はその志の強さは選手たちに良い影響を与えているという。
「とにかく意識が高い選手で、ケアや練習の取り組みは素晴らしく、それが他の選手たちにも良い影響を与えています。能力が高いからといって横柄な態度になることもない選手ですね」と太鼓判を押す。森井のプロへの強い思いも理解し、その目標実現に向かって頑張ってほしいと願っている。
まだ2年生。23年〜24年までの東京都を牽引する選手になりそうだ。
(取材=河嶋 宗一)