昌平vs秀明英光
昌平、12安打7長打12得点で圧巻のコールド勝ち。攻撃的な2番打者に要注目
三塁打を打つ金子 晄也(昌平)
<秋季高校野球埼玉県大会:昌平12-5秀明英光>◇22日◇3回戦◇県営大宮
今大会優勝候補に挙がる昌平と打線に勢いがある秀明英光との一戦。昌平が打撃で圧倒した。
1回裏、昌平平は二死満塁から押し出し死球から1点を先制。2回裏には打線がつながり、9番・石井 晴翔投手(1年)の三塁打から1番・甲斐 陸斗外野手(2年)のライトの頭を超える適時二塁打、2番・金子 晄也内野手(2年)の適時三塁打、3番・小林 驍汰内野手(2年)の適時二塁打、5番・岩間 翔大外野手(2年)の適時二塁打で、2回まで5得点を入れる。
さらに3回裏には、8番・平田 春樹内野手(2年)の適時打で、1点を追加し、3回終わって昌平が6対0と大きくリードを奪った。
だが4回表、秀明英光は4番・山﨑 寛悠内野手(2年)の適時二塁打、5番・鈴木 智也内野手(2年)の適時二塁打で2点を返した。
その裏、昌平は7番・酒井 啓多外野手(2年)、8番・平田の連打で3点を入れて、9対2と7回コールドペースとしていたが、6回表、秀明英光は4番山崎の適時打、満塁から6番・立川 劉多の2点適時打で5対9とした。
しかし7回裏、昌平は満塁のチャンスから1番甲斐の左越え適時二塁打、そして2番金子の二塁内野安打で12対5と7点差がついて、7回コールド勝ちとなった。
昌平は12安打のうち7本が長打と、ロングヒットで得点を築き上げた。上位下位関係なく、打てる打線は強力だ。黒坂監督は「今年の打線は上位下位切れ目なく、長打を打てる打者が多いのが特徴です」と語る。そのため、今年は犠打をあまり使わず、得点できるため、基本的に強打。犠打は1回のみだった。
そして2番の金子は攻撃的な2番打者としても期待が高い。5打数4安打の活躍。176センチ75キロで、2番打者ながら、チームトップの高校通算11本塁打を記録している。現在、調子を落としていると聞くが、スクエアスタンスで構えてから、インサイドアウトのスイングでボールを捉える。コンタクト率もに高く、センスは非常に高い。それでいて、手打ちにならず、体全体を振れているのが素晴らしい。何より注目すべきは守備だった。
この試合も複雑なバウンドに対し、しっかりと合わせていき、難なく処理できている守備は見事。本人も「球際の強さには自信があります。うまくバウンドに合わせられるように、配球や、味方投手の投球の傾向を掴んで守備をしています」と語るように、理知的に守備している様子がうかがえる。
最も自信にしているのは肩。三遊間から深い位置からでも刺せるスローイングを持っているという。この日はそういう場面はあまりなかったが、好野手が多い昌平の中でもひときわ目立つ存在だ。
金子は京葉ボーイズ出身。関口監督から内野守備のスキルを徹底的に学んだ。「中学で学んだことは今も大きく生きています」と語る。そして、頭脳的なプレーをしたい思いから昌平に入学。ドラフト1位入りした吉野 創士外野手(楽天)に憧れるショートストップの進化が楽しみだ。
投手陣の仕上がりもよく、135キロ前後の速球を投げ込む1年生左腕・石井 晴翔投手は威力ある直球、切れのあるスライダーを武器に5回7奪三振の好投を見せた。他には完成度の高いエース・左腕・渡邊 俊介投手(2年)、この日は登板がなかった140キロを超える速球を投げ込む佐藤 立羽投手(1年)と投手陣の顔ぶれも充実。花咲徳栄が敗れた今、浦和学院に並ぶ優勝候補として期待が高いチームであるが、それを証明した一戦であった。
(取材=河嶋 宗一)