都立青山vs東京都市大等々力
巨人・菅野智之をイメージした変化球が冴えわたる エースの11回完投で都立青山が代表決定戦へ
都立青山・杉山新
<秋季東京都高校野球大会1次予選:都立青山4-2東京都市大等々力(延長11回)>◇11日◇1回戦◇明星
都立青山が東京都市大等々力を延長11回の末、4対2で下し、代表決定戦へコマを進めた。延長11回を戦ったにもかかわらず、試合時間が2時間4分のハイペースな試合を制したことに、都立青山の木島監督は「目指してきた投手を中心とした守備ができた」と夏から成長した選手たちの姿に手ごたえを感じていた。
価値ある1勝をつかむことができたのは、エース・杉山新投手(2年)の活躍が大きい。
178センチ、60キロと突出したフィジカルではないが、長い手足を柔らかく使える。また打者寄りでリリースすることができており、最速125キロの直球は数字以上のものを感じさせた。
最大の武器は両コーナーを広く使える投球術。「球速は速くないので、球威で押すことは難しい」ことを理解したうえで、自信のあった制球力を生かして、ストライクゾーンの横幅を目いっぱい使う投球スタイルを確立した。
都立青山入学時点では、大きく曲がるスライダーも使いながら、外角中心にストライクの出し入れで勝負してきた。しかし、外一辺倒ではどうしても抑えられず、結果を出せない時期もあった。杉山は、より横幅を広げるために、インコースも突けるように練習を重ねた。さらに中学時代に挑戦していたというツーシームに再チャレンジした。
中学時代は投げるたびに変化が異なることもあり、ツーシーム習得は断念。スライダーを武器にしてきたが、高校野球を通じて筋力が強化されたことで、武器として使える目途が立った。
「ストレートと同じかそれ以上の力加減で腕を振れるようになりましたし、リリースの感覚をつかんだことで、思い通りに投げられるようになりました」
巨人・菅野智之投手(東海大相模出身)をイメージしているというツーシームのおかげで、勝負球としてはもちろん、カウントを稼ぐのにも有効になり、ピッチングの幅が広がった。
特にこの試合、1点リードで迎えた7回、1死二塁で7番・枡澤勇輝投手(1年)を三振。3ボール2ストライクの状況でも「相手打者があっていなかった」ということで、躊躇なくツーシームを投げ込み、ピンチを断ち切った。
次は強打の東京明星。西東京でも有数の実力校が相手となるが、自身のピッチングを貫いて都大会の切符をもたらすことができるか。
(記事=田中 裕毅)