美里工vs北谷
北谷の守りに苦しみながらも美里工が3年振りのベスト4進出
<第104回全国高校野球選手権沖縄大会:美里工2−0北谷>◇10日◇準々決勝◇[stadium]コザしんきんスタジアム[/stadium]
現役の選手たちがまだ生まれてもいない19年前の夏以来となる、ベスト8進出を果たした北谷。初戦こそ2つのエラーを記録してしまったものの、2回戦、3回戦と2試合連続無失策。名護戦で7回無四球の知念柊哉(3年)、首里東戦で7.2回、7奪三振無四球の永山大地(2年)と、安定感のある二本柱の活躍もあって8強入りした。そしてこのゲームでも、美里工を最後まで苦しめる好ゲームを演じてくれた。残念ながら敗退したが、与勝(26年ぶりのベスト8)ともども、大健闘した夏といえよう。その北谷の守りを何とか突破しベスト4入りした美里工は、マークされながらも2度スクイズを成功させるなど、ここ一番の勝負強さが光った。
大城、永山の見事な投手戦
美里工先発は左のオーバーハンド大城輝斗。1回に四球ひとつ、2回と5回に単打を1本ずつ与えただけで三塁を踏ませない好投を見せた。対する北谷先発の永山大地は、琉球のライアンと異名をとった沖縄尚学・山城大智ばりに足を高々と上げてからのサイドスローで、美里工打線を相手に粘り強く投げていった。
1回裏、美里工は1番金城幸斗が中前安打で出塁の後続が抑えられる。2回には攻守で要となる仲西世宇が右前安打で出塁。犠打とタッチアップで2死三塁としたが、北谷・永山大地が粘り投手ゴロに斬る。美里工は4回にも2死から森東莉音がヒット、盗塁、盗塁時の捕手の悪送球の間に三塁を陥れるも一ゴロに斬られるなど、北谷・永山大地の投球術に苦しめられた。
2つのスクイズを成功させる
試合が動いたのは5回。8番田場隆太が永山大地の失投を見逃さずライトへの三塁打。9番比嘉春空が投手と一塁手の間に執念で転がすスクイズで美里工が遂に先制点を得た。なおも1番金城幸斗が、この試合3打席連続安打となる二塁打を放ち一気呵成にいくのかと思いきや、北谷・永山大地が2番を二飛、3番を左飛に仕留め最小限度で食い止める見事なピッチングを疲労した。
6回から登板した北谷・知念柊哉だが、美里工打線はその立ち上がりを見逃さない。1死から仲西世宇がセンターへ二塁打。続く森東莉音もヒットで続くと打席には大城輝斗。左打席ではあったがベンチはスクイズを決行。外の球に懸命にバットを伸ばして転がした大城輝斗も、これまた見事な執念であった。
北谷は7回に下位打線が連続ヒットを放つもそれまで。8回には三者連続三振(振り逃げ含む)と疲れを見せない美里工・大城輝斗は完封勝利で12奪三振を記録。最後まで三塁を踏ませず3年ぶり6度目のベスト4へとチームを導いた。
(文=當山 雅通)