東京都市大付vs都立田無工
都市大附が食い下がる田無工を振り切り、昨秋ブロック予選の返り討ち
<第104回全国高校野球選手権西東京大会:東京都市大付7-3都立田無工>◇12日◇2回戦◇府中市民
昨年の秋、新チームができてすぐのブロック予選の初戦で対戦している両校。その再戦という形になった。ちなみに、その試合では東京都市大付が8対0という大差で勝利している。しかし、東京都市大付は次の試合で帝京に敗退して都大会進出を逃している。そして今春も、ブロック予選で敗れて、都大会は進出できないまま夏の大会を迎えることとなった。
これに対して都立田無工は今春、ブロック予選を勝ち上がって都大会進出を果たしている。初戦で早大学院にコールド負けしたものの、それなりに得るものはあったというところであろう。それだけに、昨秋の大敗の雪辱を果たしたいというところでもあろう。そんな思いで挑んだ夏の初戦である。
ところが初回の攻防は昨秋と同じような展開になった。東京都市大付は四球とバント、失策に4番山下の安打などで1死満塁としたところで5番須藤が左中間を破って三塁打として3点が入った。さらに、この日6番に起用された松本も右前打して4点目が入った。
この失点に関しては都立田無工の加藤 賢司監督は、「初回の立ち上がりに失策絡みで何点か取られるというのは、去年の秋と同じような失点の仕方でした。結局、これが効いてしまった」と悔いていた。
東京都市大付は4回にも、8番谷の三塁打と中継のミスでそのままホームインして追加点を挙げる。
これに対して、都立田無工は5回に7番新井の二塁打をきっかけとして失策絡みで1点を返し、6回にも宝槻の犠飛で1点と追い上げた。しかし、東京都市大付が8回に須藤の二塁打などで2点を追加してこれが結果的には効いた形になった。
それでも、9回には5番宝槻以下、3連打で1点を返し追い上げ態勢を作って食い下がった。結局、最後は東京都市大付の左翼手松本の好捕と好送球で締めくくった形となって、東京都市大付が逃げ切った。
東京都市大付は、全員が付属中学からの進級メンバーである。だから、3年生にとっては6年間の集大成という思いでの戦いでもあった。そんな中で、1年生の田畑が先発して完投した。それをリードした主将でもある鈴木 寛汰朗捕手は、「変化球の制球がいいので、それを生かすようにした」と語っていた。
山崎雄二監督は、「昨秋も当たっているので、相手も対策を練ってきているだろうと思い、目先を変える意味で1年生を起用した。正直、もって5回までくらいかなと思っていたのですが、しっかり投げていてなかなか交代のタイミングが難しくて完投になってしまった。よく投げてくれたと思う。外野もよく守ってくれた」と、田畑君の好投と何度か好守を見せた外野手の守りも評価していた。
都立田無工の加藤監督は、「9回、追い上げていったところでは、強気で慌てないでしっかりと見極めて打って行けと指示したんですけれども、引っ掛けてしまいました。イケイケムードだったんだけれども、多摩地区の子たちは、やっぱりおとなしいのかなぁ」と、気持ちで押し切れていけなかったことも少し悔いていた。だけど、「入学した時からコロナで学校からの制限もいろいろあった中で、生徒たちはやれることは精いっぱいやったんじゃないかとは思います」と、選手たちをねぎらっていた。
(取材=手束 仁)