試合レポート

誠信vs岡崎工科

2022.07.10

誠信が7回に、まさかの大量14点を入れて大勝

<第104回全国高校野球選手権愛知大会:誠信19-1岡崎工科>◇9日◇1回戦◇[stadium]豊田運動公園[/stadium]

 初戦としては好カードの一つかと思われた試合だったが、思わぬ大差の試合となってしまった。

 今春の西三河地区大会を2位校として通過して県大会進出を果たしている岡崎工科。県大会では初戦で東三河の雄豊川に屈したものの、その力は高いと評価されていた。部員数も総勢99人という大所帯となり、公立校としては県内一を誇る。平松 忠親監督も、「いい感じで生徒たちが集まってきてくれている」と、部員不足で苦しむ学校が多い中、多くの部員が集まることでチームとしての勢いも感じているようだ。県大会後の全三河大会では力のある選手が揃っている時習館刈谷工科を倒してのベスト4に進出した。ただ、準決勝では、ここ[stadium]豊田球場[/stadium]で大敗したところからのチームの立て直しをして挑んだ大会であった。

 誠信も、全部員で56人と多い。春季大会では尾張地区予選では6連勝で、2次トーナメント決勝では評価の高かったを下して1位で県大会出場を果たした。シード校として迎えた県大会では初戦で愛知啓成に敗れてしまったものの、その後の全尾張大会でもベスト4に進出した。ただ、そこでに大敗したことで、澤田英二監督は、「あの大敗が、もう一度引き締め直していこうという気持ちを作り直すことができた」と語っている。息子鋼二が主将としてチームを引っ張っている。

 岡崎工科は、従来は内野を守ることが多かった平岩 幸樹投手(3年)が先発。平松監督は「制球がいいので、一番任せられる」ということで、今大会はエース投手として起用していくこととなった。しかし、立ち上がりから持ち前の制球がもう一つ良くなく、リズムもあまりよくなかった。そこを突かれた形で3回、失策と四球の走者を溜めて2死一、二塁というところで5番伊藤 実成内野手(2年)に中前にはじき返された。これで誠信の先制となった。

 さらに4回にも誠信は、2死走者なしから1番の宮内 奏汰外野手(3年)が死球で出るとすかさず二塁盗塁。続く太田 雄斗内野手(3年)は詰まりながらも中前へ持って行き、俊足宮内は本塁を突いて誠信は追加点を挙げた。

 誠信は背番号10の水家 一晟投手(3年)が先発。こちらの方は制球もよく、上手に打たせていき、走者は出してもしっかりと要所を抑えるという投球だった。

 誠信は5回にも3番細江 悠斗外野手(3年)と続く澤田 鋼二内野手(3年)の連打で一、二塁としたところで、5番伊藤 実成内野手(3年)が左翼席へぎりぎり入る3ランを放ってリードを広げた。少し詰まったかなという打球ではあったが、力のありそうな伊藤が振り切った打球が思いのほか伸びていったという感じでもあった。


 7回にも誠信は細江、澤田の連打で5回と全く同じシチュエーションで無死一、二塁となり、続く伊藤が今度は三塁線を鋭く破る二塁打でまたしても2人をかえしてこの試合6打点目。なおも死球とバントが安打となるなどで無死満塁とさらに好機は続く。ここで、8番兼松 勇成外野手(3年)が右越え三塁打で走者一掃して3点を追加。勢いの止まらない誠信は、ここからさらに打者10人、この回だけで打者二巡の猛攻で14点を奪った。

 澤田 英二監督は、「試合前のイメージとしては4~5点を目途とした戦いになるのではないかと思っていました。序盤の競っていた時の3回に、1死一、三塁で相手のセーフティースクイズを凌いだのが大きかった。そして、1点追いつかれた後に、伊藤の3ランが出て、これで流れを呼び寄せて勢いづけられた。7回の大量点はオマケです」と振り返っていた。本塁打した伊藤は、「(本塁打の打球は)ちょっと、こすったような感じだったのですが、思い切って振っていけたので入ったと思います。チームとしては、自分たちの持ち味は十分に出せた試合だと思います」と、チームでは唯一の2年生ながら、冷静にチームの分析もしていた。なお、本塁打は通算10本目ということだった。

 思わぬ大差の敗退となってしまった岡崎工科。平松監督は、「これだけ完敗だと、ボクなんかはもうサバサバとはしています。だけど、選手たちはこの負けの口惜しさ、残念さをまた次の人生や舞台でのバネにしていってほしいとは思っています」と、思いを語っていた。そして、試合の分岐点に関しては、「ウチは二度、安打で二塁走者がかえり切れず刺されています。判断ミスもありました。相手は3回、4回といずれも2死二塁から単打でかえってきています。このあたりの差も出ました」と、序盤での流れが相手に行っていたことを感じていたが、それを早い段階で戻し切れなかったところを悔いていた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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