試合レポート

習志野vs専大松戸

2022.04.29

これぞ習志野野球。圧巻の強さで専大松戸に7回コールド勝ち

習志野vs専大松戸 | 高校野球ドットコム
関順一郎(習志野)

<春季千葉県大会:習志野8-1専大松戸>◇3回戦◇29日◇[stadium]千葉県野球場[/stadium]

 習志野vs専大松戸の一戦。

 千葉県を代表する名門校同士の一戦ということもあり、[stadium]千葉県野球場[/stadium]には大勢の観客で埋まり、コロナ禍前ほどの風景となった。あとはブラスバンド解禁と声出し応援を待つのみである。

 改めて習志野は強いチームだと感じた。シートノックから意識の高さが感じられる。内野手のスピード、グラブ裁きの安定感。外野手もダイレクトで投げられる肩の強さを持った選手が多い。

 また、「美爆音」こと名物ブラスバンド応援がないからわかるが、習志野の野手はよく声を出す。次のプレーに備えた声掛け、投手を励ます声掛け、ポジショニングに対する意識に加え、攻撃面でも安打でも時の次の塁を果敢に狙う意識も高い。

 専大松戸の148キロ右腕・鈴木 良麻投手(3年)の前に3回まで無得点に抑えられ、1回表に先制点を許してしまった。しかし、3回までの攻撃でも安打だけでなく、ファウルで粘って四球で出塁したりと、チャンスは作っていた。アウトにはなっていたが各打者のスイングもしっかりしていた。いずれ攻略するのではないかという予感が的中する。

 4回裏2死満塁、8番の関 順一郎投手(3年)の二塁強襲安打で2者が生還し、逆転に成功。さらに9番・鈴木 海偉捕手(2年)の思い切り振り抜いた打球が左翼席への3ランとなり、一気に5対1とリードする。

 本塁打を放った鈴木は「力が入っていると小林先生から指摘をいただいたので、力を抜いて、タイミングをしっかりと計って打つことを心がけました」。甘く入ったスライダーをドンピシャで振り抜き、公式戦初本塁打をマークした。練習試合と合わせて通算3本塁打目だ。17年のマリーンズJr.を経験。代打で1打席しかなかったが、貴重な経験となり、練習を打ち込むきっかけとなった。

 5回裏には1死二塁から4番栗原 政悟内野手(3年)の左前適時打、7番成田 悠真内野手(2年)の左越え三塁打で8対1と大きく引き離す。二塁からワンヒットで本塁にかえる鮮やかな走塁は健在。昨秋と比べると明らかに走塁のレベルが上がっている。スイングスピードの速さも高まっていて、質の高い練習の成果が発揮されているようだ。

 右サイドの関は常時120キロ後半〜136キロの直球と、115キロ前後のスライダーを両サイドへ的確に投げ込み、しっかりとゲームメイクした。「専大松戸さんは打線が強いので、内角へ投げきることを心がけました。内角にしっかりと投げられないと、外角一辺倒になってしまうため、それができてよかったです」と振り返る。リードする鈴木も「内外角の投げ分けを意識しました。関さんはコントロールがよくて、狙い通りのところへ投げてくれるのでリードしやすいです」と先輩投手に感謝していた。

 昨秋は八千代松陰に完封負けした。4番・栗原は「非常に悔しかった思いがあります」と敗戦を糧に冬の練習に臨んだ。コロナ禍で活動に制限こそあったが、自主練習する中でもLINEで仲間と励まし合いながら練習してきた成果が完成度の高い野球につながった。

 投打ともに圧巻の野球で8対1と7回コールド勝ち。今年は甲子園を狙える…。そう言い切れるほど強いチームになってきた。準々決勝以降の戦いも楽しみだ。


専大松戸の148キロ右腕、自慢の速球を投げ込むも悔しい5失点。夏へ向けての課題は

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専大松戸・鈴木良麻投手(3年)

<春季千葉県大会:習志野8-1専大松戸(7回コールド)>◇3回戦◇29日◇[stadium]千葉県野球場[/stadium]

 専大松戸は4大会連続でベスト4以上が続いているが、3回戦の習志野戦で7回コールド負けして6年ぶりのベスト16止まりとなり、Cシードとして大会に臨む。それでも、最速148キロ右腕・専大松戸鈴木良麻投手(3年)は、習志野相手にも途中まで躍動感溢れる投球を見せた。

 チームに勢いをつけるためにも、投げるたびに「うりゃ!」と雄叫びを上げた。重心を深く沈め、左足の膝を大きく突き上げて勢いよく踏み込んで、投げ下ろす投球フォーム。手元のスピードガンでは常時135キロ〜142キロを計測し、[stadium]千葉県野球場[/stadium]のスピードガンでは、140キロ〜146キロを連発。2回以降も142、143キロを計測し、さらに120キロ前半のスライダーも前半まで決まっていた。

 ただ、習志野打線は直球よりも甘めに入るスライダーに的を絞っていたようで、4回裏、習志野4番・栗原政悟内野手(3年)にはスライダーを拾われ、さらに鈴木海偉捕手(2年)にもスライダーが甘く入った本塁打を打たれてしまい、4回途中まで5失点を悔しい内容となった。

 直球の威力、平均球速については全国レベルのものがあるだろう。スライダーもしっかりと指にかかった時はかなりのキレがある。鈴木は冷静になりきれなかったことを悔いた。

 「まずは3回まで無失点に抑えることはできたのですが、力を入れた分、冷静になりきれていませんでした。ストレート、スライダーのコントロールも強豪校相手の練習試合でも良かったので、どこか冷静さを欠いた結果、コントロールが微妙に狂ってしまいました。もう少し冷静に投球ができていればよかった。本塁打は余計な失点ですし、自分の責任です」と悔やんでいた。

 191センチの竹葉洋太投手(3年)は肩の脱臼の影響で緊急降板。それでも4番手・梅澤翔大投手(1年)は右スリークォーター気味から130キロ前半の速球に、スライダーやカーブなど丁寧に投げ分けて無失点投球を見せた。持丸監督も制球力の良さ、テンポの良さ、内容を高く評価しており、今後は登板機会が増えそうだ。

 持丸監督は夏へ向けて選手の入れ替えを示唆した。
 「4回裏の強襲安打も絶対に止めないといけない当たり。勝負強さを持った選手が夏には必要ですので、選手の入れ替えは行っていきたいと思います」

 ここまで秋、夏とベスト8に残っておらず、苦しい1年が続いている専大松戸。能力が高い選手がいるだけに、かみ合った野球を実現し、再び甲子園を狙えるチームになることを期待したい。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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