帝京vs國學院久我山
高橋 被安打8の完封で帝京 センバツ4強の國學院久我山を破り秋のリベンジを果たす
帝京・高橋蒼人.
<春季東京都高校野球大会:帝京6-0國學院久我山>◇16日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子
準々決勝からブラスバンドの応援が可能になった。帝京の応援席ではブラスバンドとチアガールが登場。これまでも[stadium]東京ドーム[/stadium]や[stadium]神宮球場[/stadium]のように応援席が完全に分離できる球場ではブラスバンドの応援もあったが、一般の球場ではコロナ以降初めて。「我慢してきた代ですからね」と帝京の金田優哉監督は語る。ようやく高校野球の日常に一歩近づいた感じがする。
準々決勝の最初の試合、帝京・國學院久我山は、秋の準々決勝と同一カード。この時は國學院久我山が逆転勝ちしている。
國學院久我山の先発は、秋と同じく渡辺 建伸。帝京は、秋は大塚 智也であったが、今回はエースの高橋蒼人が先発した。
帝京は2回表、一死満塁から8番・鵜飼 陽太の中前安打で1点を先制する。さらに渡邊は1番・戸田 和人にも四球で押し出し、帝京は1点を追加した。
その裏國學院久我山は5番・大野 良太が三塁打を放つ。一死後7番・萩野 颯人がスクイズ。ところが一塁手が素早く処理して大野は本塁でアウト。國學院久我山のバント攻撃はセンバツでもすっかり有名になっただけに、帝京の金田監督は、「対策をしてきました」と言えば、國學院久我山の尾崎直輝監督も「対策に対して受けてしまいました」と語る。勝負には自分たちの持ち味を発揮することも大事だが、相手の持ち味を消すことも大事だ。その意味で、このスクイズ失敗はこの試合の大きな分岐点になった。國學院久我山も相手が対策をとることを前提に、今後さらにバントに磨きをかけるに違いない。
帝京は4回表にも中前安打の6番・稲垣 渉を、8番・鵜飼が二塁打で還し1点を追加。ここで國學院久我山は投手を渡邊と同じく左腕の松本 慎之介に交代したが、代わった松本慎から、9番・高橋、1番・戸田が連打してさらに1点を追加する。
帝京は5回表に3番・小島 慎也の二塁打などで1点を追加。7回表にも一死一、三塁から1番・戸田がスクイズを決めて、帝京が点差を広げた。
帝京・高橋の好投になかなかチャンスをつかめない國學院久我山であったが、6回裏は敵失と4番・下川邊 隼人の左前安打で無死一、二塁のチャンスをつかんだが、一死後、7番・橋本 大豊の右飛に二塁走者が飛び出し併殺となり、チャンスを生かせない。結局高橋は、被安打8で完封勝利を挙げた。國學院久我山の尾崎監督は、帝京の高橋について、「ストレートがいい、安定したピッチャー。いいピッチャーを打ち崩せませんでした」と語り、「完封は悔しいです。打ち勝つことが夏には必要です」と語った。國學院久我山はさらに攻撃力を高めて、春夏連続の甲子園を目指す。
完封勝利を挙げた帝京の高橋は、状況に合わせ、投球の際、歩幅を狭くするなど、工夫をしながら投球した。この冬は、「下半身、特に股関節を柔らかくするトレーニングをして球威が増しました」と高橋は言う。
帝京は準決勝で日体大荏原・関東一の勝者と対戦するが、金田監督は、「目の前の相手を倒していくだけです」と語る。帝京はこの春、投打にレベルアップしているだけに、今後の戦いが楽しみだ。
(取材=大島 裕史)