試合レポート

日大豊山vs共栄学園

2022.04.06

元気なイケイケ野球の日大豊山が、手の内を知った仲の共栄学園に快勝

日大豊山vs共栄学園 | 高校野球ドットコム
8回にダメ押しのソロ本塁打を放って三塁を回る日大豊山・市沢君

 <春季東京都高校野球大会:日大豊山4-1共栄学園>◇5日◇1回戦◇都営駒沢

 昨秋は、2回戦で優勝した國學院久我山に敗れている共栄学園。甲子園でもベスト4にまで残った力のある相手に先制するなどして競り合った試合を経験したということは自信にはなっているであろう。その共栄学園に立ち向かう日大豊山は、今春は1次ブロック予選からの戦いとなったが、2試合コールドゲームで勝ち上がっての本大会進出となった。

 実は、この両チームは監督同士も仲が良く、練習試合などもよく行っており、お互いに手の内を知っている同士でもある。それだけに、お互いに公式戦としては負けられないという思いもあるであろう。

 試合前から、日大豊山のベンチは元気がよかった。その元気のよさが初回に爆発した。失策で先頭打者を出してしまったものの、先発の布施がしっかりと凌いだ日大豊山はその裏、1番上野が左前打を放つ。続く石田句が死球で一、二塁となり、石田がしっかりと送って二、三塁。2死となったが、5番市沢が左前打して先制点が入ると、ベンチは一気に盛り上がる。さらに、狩野の一打は内野安打となり2点目。7番山根も左前打して、勢いで3点を先取した。

 このリードで布施は落ち着いて投げられたようだ。3回こそ、2死から、2番後藤が二塁打して、続く早川の中前打で1点を返されるものの、慌てることはなかった。

 3点を先取して以降、日大豊山としては、なかなか追加点が入って行かない展開で、いくらか焦れてくるところでもあろうが、布施は落ち着いていた。上手に打たせて取っていく投球で、このあたりはクレバーな投球と言ってもいいであろう。共栄学園の原田健輔監督も、「相手の戦略にうまくハマってしまったという形でした。相手投手のカットボールに手を出して攻略しきれないというパターンでした。布施君が上手く投げてくることもわかっていたんですけれども、まさに、術中にハマってしまいました」と言うように、布施は、身体自体もそれほど大きくはなく、がっちり型と言うよりは、いくらか華奢かなとも思えるくらいだ。それでも、上手に投げて行っているという印象だった。必ずしも球威があるというワケではないけれども、まさに、「打たせて取る」というのは、こういう投球だということのお手本のようでもあった。

 そして、膠着していった展開の中で、8回に5番市沢が出会い頭的ではあったが、右翼へソロホーマー。試合の展開からしても非常に大きな1点となった。

 日大豊山は、試合後のベンチも大いに盛り上がっていたが、福島直也監督も、「やってきたことがしっかりやれたという感じで、とても嬉しいですね。布施も丁寧に投げてくれて、メンタル面も強化されてきているのかなとも思います」と喜んでいた。「全体的にチームのノリがいいので、この勢いで行きたいですね」と、次へ向けても、気持ちを高めていた。

 東京都の場合、春季大会は、ベスト8までの戦いは一気に短期間で進んでいくだけに、こうした形でチームの勢いをつけていくことで、一気に走って行ける可能性もありそうだ。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.13

【仙台六大学】“投手王国”にまたひとり…リーグ戦初登板初先発の東北福祉大・柴田由庵が史上15人目ノーヒットノーラン達成!

2024.05.14

【2024夏全国ノーシード校一覧】二松学舎大附、履正社、智辯学園、沖縄尚学などビッグネームがノーシードで夏に挑む

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.10

【岩手】花巻東は水沢工と一関二の勝者と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?