試合レポート

横浜隼人vs金沢総合

2022.03.29

横浜隼人vs金沢総合 | 高校野球ドットコムこの試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています

横浜隼人が全勝で県大会へ 7番・長瀬が7打点で大暴れ

横浜隼人vs金沢総合 | 高校野球ドットコム
ホームランを放った横浜隼人・長瀬航生

 <春季神奈川県大会横浜南・横須賀地区Fブロック予選:横浜隼人21-3金沢総合>◇29日◇横浜隼人高校グラウンド

 昨年秋季県大会で準々決勝まで進んだ横浜隼人金沢総合を下して予選全勝で県大会に臨むことになった。

 初回から横浜隼人の強力打線が爆発した。金沢総合の先発・山崎日向投手(2年)から打者2巡の猛攻。3番・前嶋藍捕手(3年)や、7番・長瀬航生外野手(3年)の適時打などで一挙14得点と、試合の情勢をほぼ決めるが、2回以降も攻撃の手を緩めない。

 2回にも7番・長瀬の一打などで3点を入れると、18対1で迎えた4回には右翼席まで運ぶホームランと、長瀬はこの試合7打点の大暴れでチームの勝利に大きく貢献した。

 秋の大会では背番号17だったが、この春は背番号7を渡された。屈強な体格を持つ長瀬だが、大和シニアから横浜隼人の門を叩くも、当初は投手のレベルの高さについていけず、打撃では苦労を重ねた。「タイミングの取り方が下手だった」ことが原因だったことも踏まえて、高校からはノーステップに変更。課題克服に努めてきたことで、徐々に対応力が高まり、結果も出始めた。

 開きを抑えるためだという、右足にあえて少しだけ重心を乗せておいてから、軸足にしっかり体重をかけてタメを作ると、スムーズな振り出しでヘッドを走らせて打球を飛ばしていく。恵まれた体格が相まって、捉えた打球は瞬く間に外野まで飛んでいった。

 公式戦では初だというホームランも滞空時間の長い凄まじい打球だったが、この1発があったのは冬場にチームとしてミート力向上に取り組んだことが大きい。

 1.5キロのバットと竹バットを使ったハーフバッティングを通じて、筋力はもちろん、手元まで球を引き付けても捉えられるスイング軌道を覚えた。

 さらにペッパーでは、短い距離と長い距離と2つに分けたことで、最短距離でバットを出しながら強くミートさせても、投手方向に返せるように取り組んできたという。

 水谷監督は「大学生と練習試合をさせてもらう機会がありましたが、しっかり対応できていた」と冬場の手ごたえを徐々に感じていたが、長瀬もこの試合でのホームランで冬場の成果を感じていた。

 「今までなら態勢を崩されると、後ろが大きくなって空振りをすることがありましたが、一冬越えてミート力が高まったから、今日は1発が出たと思います」

 この試合で大暴れした長瀬については、「一冬越えて成長した選手です」と前嶋主将も認める成長株であり、7番にいることは「面白い存在だと思います」と語れば、水谷監督は「7番にいるのが怖いと思って置いている」と話しており、打線に厚みを持たせるキーマンとなることは間違いない。

 理想はエンゼルス・大谷翔平投手(花巻東出身)を挙げたが、同じノーステップ打法ということもあり、彷彿とさせる部分が多い。「1球1球に集中してやりたいです」と県大会に向けての意気込みを語った長瀬が、恐怖の7番打者として県大会でも豪快な打撃を見せられるか楽しみだ。


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横浜隼人3番・前嶋藍

 そして注目の前嶋主将は、3打数1安打という結果に終わった。初回に見せたこの試合唯一の安打は、レフトフェンス手前まで飛ばした痛烈な打球。打球速度が他の選手より頭1つ抜けており、これには「えぐい」の一言すら聞こえてきた。

 上体を高くして、あくまで脱力した状態で立ちつつ、両脇を程よく締めてタイミングを計ると、少しばかりテークバックを取ってトップを作り、鋭くバットを振り抜く。スイングスピードが速いだけではなく、インサイドアウトで最後にヘッドが出てくるので、インパクトがとても強く、凡打でも鋭い打球が飛んでいた。

 ここまで高校通算9本塁打だが、県大会を含めて、今後試合を重ねていけば、強打の捕手としてリストアップされるのではないだろうか。

 また、捕手としても二塁送球は自己最速1.8秒をマークしており、能力は高い。投手を引っ張っていく統率力もあり、改めて前嶋の凄さを再確認できた。

 このほかにも4番に座り、前嶋と中学時代からのチームメイトの金丸雄海内野手(3年)、南雄大外野手(3年)と上本蓮夢内野手(3年)の1、2番コンビと打者陣に実力者が揃う横浜隼人。「まずは勝つことにこだわってやりたい」と前嶋主将は意気込みを残したが、県大会でも強力打線が火を吹くのか楽しみだ。

 対して敗れた金沢総合は冬場を通じて団結力が高まった。この試合について「エラーこそ出ましたが気持ちを切らせなかったことは良かったです」と主将・佐古幸太郎捕手(3年)は振り返る。

 攻守ともに今後の課題は多いが、打倒私学を成し遂げるべく、さらなる成長を目指す。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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