試合レポート

國學院久我山vs星稜

2022.03.29

逆転勝利を呼び込んだ初ベスト4の國學院久我山のゲームプラン

國學院久我山vs星稜 | 高校野球ドットコム
下川邊 隼人

<第94回選抜高校野球大会:國學院久我山4-2星稜>◇28日◇準々決勝◇甲子園

 どちらも複数投手を擁し、後半戦勝負と踏んでいた試合。勝敗の分かれ目は國學院久我山(東京)のしぶとさ、粘り強さだった。

 エースの成田陸投手(3年)は、130キロ前半の速球に、切れのあるスライダー、カーブを投げ、被安打7を許しながらも、要所を締める。4回表にエラーと星稜(石川)7番・津澤泰成外野手(3年)の適時打などで2点を先制されたが、ダメージを最小限に食い止めた。

 5回裏、國學院久我山は反撃を開始する。先頭打者が四球で出塁し、1死二塁から1番・齋藤 誠賢外野手(3年)の適時打で1点を返す。ここで初安打を浴びた星稜先発の武内 涼太投手(2年)は降板した。

 エースのマーガード真偉輝 キアン投手(3年)が登板。しかし2死から投手・マーガードの送球が後ろにそれる。ただこの後、星稜野手陣のカバーリングが遅れてしまった。二塁走者が生還し、同点に追いつく。さらに極めつけは4番・下川邊 隼人内野手(3年)が打った瞬間、本塁打と確信した2ランホームランで勝ち越しした。

 國學院久我山は前半、押されている感もありながらも粘り強く戦えていたのは、試合前からのゲームプランにあった。尾崎直輝監督は振り返る。

 「綺麗に打とうとせずに、詰まってもいいと。打席にいろんな球が来ていましたが、自分の狙った球を絞って結果を恐れずに行ってほしいと。ただ先発の武内くんは思った以上に球威と切れがあったんで、力負けしている感じがありましたが、粘り強く繋がって野球をやってくれました」

 そして前半は思い切り戦って、後半に生かすことを選手たちに語りかけた。

 「まず3回を思い切って戦い抜こう。そのなかで相手打者と対戦して感じたことをやり取りして、2巡目に入ろうと。3回で自分たちの思い切ったプレーをして、思い通りいかないことは多かったですが、一歩踏み出すことが大事なので、失敗を恐れずにやってくれたから中盤で捕まえられたと思います。四球でランナーが出ていたとはいえ、安打はなかったですが、気にしていないです。良い投手で簡単には打てないので、そこでどう戦うかが私たちですから」

 初安打出たのは5回だったが、その5回で、逆転に成功した。継投リレーで踏ん張った成田陸投手(3年)、渡辺 建伸投手(3年)、松本 慎之介投手(3年)の3投手についても労った。

「継投に関しては、3人をどうつなぐかと思っていたし、それぞれが甲子園で調子がいいのでどう組み合わせるか。渡辺も変わってすぐにあの投球、松本もどんな状況でも準備したので頼もしいです。

 順番は、調子のいいところから。成田は緊張していましたけど、立て直してくれました。

 星稜は打線が素晴らしく、対応されていた。引っ張ってどこまで行けるかなと思いましたが、2点取られてからでも、守備と協力して無失点だったので良かったと思います。

 追いついたら継投したいと思ったので、渡辺の調子が良かったのでスパッとですね。

 昨日からずっと渡辺は良かった。成田の後に行くぞと伝えて吹っ切れていたので、第2先発くらいで準備してほしいといったので、すぐに決めました。

 松本には悪かったんですが、判断が遅れてしまったので。苦しかったと思いますが、賢い投手なので、4ー2のスコアを理解して対戦できた。人間的な部分を評価して、行かせたいと思って腹くくりました」

 ここまで堂々の戦いを見せ、初のベスト4入りを見せた國學院久我山

 尾崎監督はここまでの戦いぶりについて選手たちのクレバーさを称える。

 「昨秋の都大会から始まって、あらゆる戦いをしてきた。冬にも『いろんな戦いをしたから、糧にして甲子園で戦おう』と言ってきた。本当に柔軟に対応するので頭が賢い。いい経験をさせてもらっている」

 これまで國學院久我山が練習で培ってきた実力、思考力を存分に甲子園で発揮している。次は大阪桐蔭と対戦する。國學院久我山がさらに発展するためにはこれ以上ない相手である。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.27

【京都】龍谷大平安、京都成章、北嵯峨などが2次戦進出戦に挑む<春季大会>

2024.04.27

【大阪】3回戦は28日に大阪桐蔭、履正社が登場、29日には上宮-関西創価など<春季大会>

2024.04.27

横浜に入学した「スーパー1年生5人衆」に注目せよ! 佐々木朗希二世、中学日本代表の二刀流など明日の慶應戦で活躍なるか!?

2024.04.27

【滋賀】シードの滋賀学園、彦根総合が登場<春季県大会>

2024.04.27

【広島】広陵は瀬戸内と、広島商は崇徳と夏のシードをかけて激突<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!