都立田無vs都立王子総合
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
コールドゲーム成立寸前から、あわや逆転サヨナラの場面となったが田無が辛勝
田無・阪本誠一君
よく言われることでもあるが、「コールドゲームができそうなときには、(コールドゲームを)取りに行く戦いをしないといけない」ということである。この試合などは改めて、その戦い方の鉄則を認識させられた。結果的には、田無は1点差で逃げ切れたし、王子総合は、あと1歩で逆転サヨナラ勝利という、1点差として1死満塁の追い上げムードだったが、あと1点を取り切れなかった。
そういう意味では、どちらも試合後のミーティングでは、反省材料はいっぱいあったと言っていいであろう。この段階でもあるし、チームの次への成長へ向けては意味のある戦いだったとも言えようか。
田無は2回、死球と安打や失策に盗塁悪送球などで2点を貰う。さらに3回には四球にバント送球ミスでチャンスを広げると、5番佐々木の犠飛で追加点。なおも、上西の三遊間を破る安打と阪本の左中間二塁打、丸山の右前打などで、貰ったチャンスをしっかりと生かす攻撃となった。これで7点差とした。
ここまでの展開では、阪本が力強い投球で王子総合打線を抑えており、この勢いならば5回コールドゲームもあるぞと思わせるくらいの状況だった。
5回に王子総合が二盗、三盗から悪送球で1点を返すものの、すぐに田無は6回、失策と四球でチャンスを貰い、6番上西の中前適時打と、続く阪本の犠飛で9対1とした。これで、6、7回に1点を失ったとしてもコールドゲームは成立するという状況になった。
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
試合前、挨拶に向かう王子総合
ところが王子総合は、そうはさせまいとその裏に7番佐々木の適時打や押し出しで2点を返す。こうして試合を継続させていくと、7回にもリリーフした腰越に対して藤森の適時打や暴投もあって2点を返す。8回にも9番飯島の巧みなバント安打などでチャンスを広げていき、盗塁悪送球と安田の右犠飛で2点差とした。
そして9回。4番藤森と太田幸樹の連打と内野ゴロで1死二、三塁。一打同点という場面となる。ここで、腰越は連続四球を与えてしまい押し出しで1点差。一打逆転サヨナラという場面になった。ここは、気持ちの勝負となったが、腰越が何とか踏ん張った。最後は勝負強い1番の安田を左飛に打ち取って、辛くも逃げ切った。
田無の島修司監督は、「(腰越投手は)やっぱり、気持ちのやさしさが出てしまったのかなぁ…。球の力は阪本の方があるので、先発で行ったんですが、100球超えて球威が落ちてきました。それで7回から腰越に行かせたんですが、よい子過ぎて、こういう場でのメンタル面の強さを出し切れないのかなぁ」と気遣っていた。
実は、練習試合では、逆の継投パターンを試していたのだが、なかなか上手くいかなかったという。それを、最後の練習試合で逆にしてみたら上手くいったので、結局、公式戦初戦はこのパターンで行くということにしたのだという。結果的には1点差で逃げ切れたということで、そのことは粘れたという自信にしていっていいのではないだろうか。
それにしても、終盤の展開は、本当に高校野球は、最後まで何がどうなるかわからないということだ。ことに、力の似通ったチーム同士の場合は、コールドスコアになりかけたとしても、リードされている側は諦めてはいけないし、リードしている側は油断をしてはいけないということである。言い尽くされたことでもあるけれども、そういう鉄則を再認識させたという意味もある試合でもあった。
(記事:手束 仁)
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
田無・腰越翔太君
終盤の守りでのピンチで集まった田無の選手たち
王子総合・藤森直之君