大東大一vs啓明学園
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
活躍の裏には元広島の大打者の影響、菅原が大東大一打線をけん引
ガッツポーズする大東大一4番・福本豪希
大東大一と啓明学園の試合は、序盤でリードを作った大東大一が勝利した。
2回に「この試合のポイントになると思っていた」と宮城監督が言う7番・小山翔大内野手(3年)のタイムリーなどで5点を先取することに成功。
「芯に当てただけになってしまいました」と会心の一撃ではなかったが、自信があるスイングスピードを生かして、手元まで引き付けてはじき返すことを意識した打撃で、チームに先取点をもたらした。
その後も1番・菅原凌外野手(3年)の一打でチャンスを広げたところで相手のミスなどがあって一挙5点。4回にも1番・菅原が右前適時打を放つなど2点を追加して7対1とリードを大きく広げた。
後半は啓明学園が勢いを取り戻し、7回に2番・田岡玲旺内野手(3年)のホームランで3点差に詰め寄られたが、逆転までは許すことなく、最後はエース・小池聡太投手(3年)が締めて、大東大一が7対4で啓明学園を下した。
序盤のリードで主導権を握った大東大一が勝利したが、チームとしての印象は、各打者がしっかりバットを振れていた。宮城監督は「グラウンドがありませんので、ティー打撃や素振りくらいしかできません」と言いながら「1球目から強いスイングができるように練習していきました」と一冬かけて力強い振りができるように取り組んできたことを明かした。
そのために「球をしっかりと見極めながらも、ピッチャーの足元に打ち返す」ことを徹底してきたと主将・大澗信斗捕手(3年)は具体的な取り組みを話す。そのなかで大きな存在となったのが、3安打をマークした火付け役・菅原だった。
「みんなが菅原に質問しに行くくらい、凄く打撃を考えてやっているので、話を聞くと『そう考えているのか!』となることがあります」と大澗主将も攻め勝つ「大東野球」の象徴ともいえる菅原に全幅の信頼を寄せているが、最近までは不調気味だったとのこと。
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
大東大一1番・菅原凌
スランプを脱するために、「元広島の前田智徳さん(熊本工出身)を見て、軸足にしっかかり重心を乗せるように心掛けました」と、タメを作ることに重点を置いた。その結果、球を長く見ることができるようになり、「前でしかとらえられなかったミートポイントが、自分の手元まで広がったと思います」と打席の中の感覚が変わってきたと話す。
加えて、「耳の後ろからバットを出すことを意識しています」と最短距離でバットを振り出すことを意識していることもあって、呼び込んでも広角に打ち分けることができていると話す。どっしりと構えたままで、手元まで球を引き付ける打ち方が印象的だった菅原には、球界を代表する偉大な先輩の影響があった。
繋がりある打線で都大会も勝ち上がるのを期待したいが、もう1つのカギとなりそうなのが精神力。これまでは「劣勢だと沈んでしまうところがあった」と宮城監督が話し、選手たちも課題であることを理解していた。だからこそ、冬場は大澗主将が先頭に立ってあえて厳しい練習に積極的に取り組んだことで、心身ともに鍛えられたという。この試合でも大澗主将の統率力は光ったが、都大会では打線だけではなく、精神力の強さにも注目したい。
大東大一の前に敗れた啓明学園は、芦澤監督は「土台となる部分が、最後まで固めきることができなかった」とコメント。新型コロナウイルスの影響で、全体練習を再開したのが5日前ということで、思うように準備ができなかった状況だったと明かす。
ただ、冬場にはトレーニングをみっちり積んだ成果を、各選手が随所に発揮した。橋本駿主将(3年)も「今年は力のある選手が揃っているので、その力が発揮できるように結果を気にしすぎず、強気な姿勢でプレーしたいと思います」と夏に向けて決意を表明した。
橋本主将やホームランを放った2番・田岡はもちろん、先発した黒須隆之介投手(3年)や3番・小林竜大外野手(3年)と、力のある選手がいるのは間違いない。夏の台風の目となりそうな予感漂う啓明学園の今後に注目したい。
(記事:田中 裕毅)
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
ガッツポーズする大東大一・小池聡太
ホームインした大東大一・小山翔大
ホームランを放った啓明学園2番・田岡玲旺