東海大相模vs花咲徳栄
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名門対決は東海大相模に軍配。初回に花咲徳栄エース金子を攻略
東海大相模先発・武井 京太郎
東海大相模と花咲徳栄といえば、誰もが知る全国区の名門だ。そんな両校が、関東大会の初戦で対戦するとあって、球場には多くの観客が詰めかけた。朝から球場の外には行列ができていることを考えても、注目度の高さは窺い知れる。
そんな注目の一戦だが、どちらも力があるだけに勢いづけて主導権を渡すと、ひっくり返すのは難しい。競り合った試合展開が求められる中で、東海大相模が初回から攻め立てた。
二死から3番・百崎 蒼生の二塁打からチャンスを作ると、5番・笹田 海風の一打で先制。さらに打線がつながり、6番・武井 京太郎らの一打で5得点。花咲徳栄先発・金子 翔柾を打ち崩して主導権を握った。
2回、3回に2点ずつ返されて5対4で迎えた3回には、3番・百崎が先頭で出塁すると、9番・深谷 謙志郎のセンター前などで3点を追加。続く4回も3番・百崎が3本目のヒットでチャンスメイクして、5番・笹田のタイムリーで9点目。花咲徳栄を突き放していく。
東海大相模は先発・武井を3回途中で下ろすと、2番手・庄司 裕太が奮闘。140キロに迫る真っすぐと、切れ味鋭いスライダー系のボールで花咲徳栄打線の勢いを止めた。
その後、ダメ押しの追加点は奪えなかったが、庄司が花咲徳栄に追撃を許さずにゲームセット。強豪対決は、前半に猛打を振るった東海大相模に軍配が上がった。
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勝った瞬間、拳を強く握りしめた東海大相模・庄司 裕太
強力打線で花咲徳栄を9対4と圧倒した東海大相模。まず花咲徳栄の右の技巧派右腕・金子の変化球に手を出さず失投を捉えて4安打5得点で打ち崩す。
すると2番手で登板した熊倉 柚からも、きっちりボールを呼び込んではじき返し、14安打4得点をマーク。お手本ともいえる打撃で、タイプの違う2人の投手をしっかり攻略した東海大相模の対応力は素晴らしいの一言に尽きる。
これを可能にするのは、原監督が浸透させてきた教えにあるのではないかと考えられる。
「一番は準備の大切さを教わりました。例えば、目線を上げて低めをボール球を振らないためにはどうすればいいのか。そういったことをいろんな角度から見た野球を教えてもらっています」（百崎）
好投手が相手になれば、特に低めのボールの見極めは重要になる。そこを見切るには、どうしてもポイントは引き付けなければならない。だからこそ上から最短距離で叩くスイングは必要で、これが出来れば自然とフライを打ち上げることなく、低く鋭い当たりが増えやすくなる。
また左の変則投手・熊倉が相手も、ポイントを近づけてる習慣があるから、逆方向にもきっちり打って、得点を重ねることができたのではないだろうか。
原監督の指導が徐々に形となって表れてきた新生・東海大相模打線だが、この試合でなかでも目立ったのは3番・百崎だ。
5安打と打線の中心となって東海大相模の勝利に貢献。しかも3本は得点したイニングに飛び出しており、打線に勢いを付けたという意味でも、この試合のキーマンだったと言える。その百崎の特徴は、大きく前へ踏み出すステップだ。一見すると、突っ込んでいるように感じられるが、ここには百崎なりのプレッシャーのかけ方があった。
「県大会では当てに行くところがあったので、ファーストストライクからしっかり振っていく。そのための準備であったり、自分からボールに入っていくようにしました。
抜け球が来ても怖からずにしっかりと踏み込む。踏み込めば相手バッテリーも警戒すると思うので、怖がられるするためにも大事にしています」
5本のヒットが生まれたのは決して偶然ではなく、低めの見極めや踏み込んでいくなど、日々の練習から培ってきた準備があったからこそ生まれたものだった。次戦は好投手を擁する木更津総合だが、波に乗る1年生スラッガーが原野球をバットで表し、選抜当確ランプを灯すことが出来るか。
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花咲徳栄先発・金子 翔柾
初回の5失点が響いた花咲徳栄。先発・金子が1回持たなかったのは想定外だっただろうが、2番手・熊倉は失点しながらも、良く粘った。それだけに野手でエラーが3つと、投手を盛り立てることが出来なかったことも悔やまれる。
しかし、打線は投手力の高い東海大相模から9安打4得点と結果を残した。なかでも気になったのは、1番・山田 愼之介、4番・前田 空の2人だ。
中学時代は浦和シニアで日本一を経験した山田は、滑らかなスイング軌道でボールを捉えるのが印象的な打者。きっちり叩けるスイングで、対戦するピッチャーとしても嫌な打者だったのではないだろうか。
そして今年の花咲徳栄の主砲を任される前田は、強烈な縦振りでボールに力を伝えて快音を響かせた。2打席連続で二塁打に放つなど、打力の高さを示した。
他にも7番・佐伯 豪土をはじめ、振れる選手が多い印象だった花咲徳栄。また、2回には9番・熊倉のサードゴロで点数を奪うシーンがあったが、若干たたきつけるように打ち、サードランナーをホームにかえすような、攻撃の幅も見せた。
「まだまだ発展途上のチームです」と岩井監督は話したが、昨年も一冬越えて見違えるように強くなった。今年もその可能性は十分に秘めている。春になったとき、どれだけ戦力を整えてくるのか。春以降の飛躍が楽しみだ。
（取材＝田中 裕毅）
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二塁打を放った東海大相模・百崎 蒼生
タイムリーを放ち、雄叫びを上げる花咲徳栄4番・前田 空
追加点に雄たけびを上げる東海大相模ナイン
