試合レポート

下妻一vsつくば国際大高

2021.10.19

下妻一vsつくば国際大高 | 高校野球ドットコムこの試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています

細かい点の取り合いの展開は、下妻一が8回に取り勝って逃げ切る

下妻一vsつくば国際大高 | 高校野球ドットコム
最後まで投げ切った、下妻一・冨澤君

 今秋の大会は、コロナ対策などに都道府県によって対策の差違がある。そんなことで、秋季県大会が必ずしも同地区で一斉に開催されていない状況だ。関東地区では、茨城県のみが遅れての開催となって、今の段階でベスト8が決まり、この日が準々決勝となった。

 試合は、お互いが細かく点を取り合っていくという展開で、最後まで、どうなって行くのかわからないぞと思わせる競り合いとなった。

 まずは下妻一が初回に二死走者なしから一二塁として、5番市川君の内野安打で先制。2回にも二死一二塁から2番大野君が一二塁間を破る安打で帰す。しかし、つくば国際も3回、一死後四球の走者をしっかりと送って、1番河井君が左前へポトリと落として1点を返す。

 逃げたい下妻一は4回、この回から登板した3番手の山本君に対して、1番からの好打順で、3連打で1点を奪い、さらに5番市川君もタイム―で2点を追加。試合の流れは下妻一に傾いていった。

 ところが、つくば国際も粘ってくる。6回に2番中山君の二塁打と続く吉田君の左前打で1点を返し、なおもバント後に6番勝部君が左前打して1点差とした。

 その後も点を取り合う展開は続き、その裏に下妻一は冨澤君のタイムリーで再びリードを広げるが、7回につくば国際も中山君のタイムリーでまたまた1点差とする。そして8回、途中出場の田村君が安打反撃で出ると、しっかりとバントで送り、7番塩田君が中前打してついに同点とした。つくば国際は、ここまで走者が出るとしっかりと送って、その後にきちんとタイムリー打が出るという形で、試合の流れとしては決して悪いものではなかった。そして、ここで追いついたことでむしろムードとしては押せ押せの展開になるのではないかと思われた。

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二回にタイムリー打を放った下妻一・大野君

 ところが、下妻一もよく堪えた。先発から投げ続けていた背番号3の長身左腕冨澤君は、決して球威があるというワケではないものの、何とか抑えていこうという投球で後続を断った。こうして、冨澤君が、追いつかれつつも、リードを許さなかったことで、その裏の得点を導いたといってもいいであろうか。

 この回、一死から下妻一は、6番に入っている冨澤君自身がこの日3本目となる安打で出ると、暴投で二塁へ進み、相手失策もあって二塁から生還。さらに、二死一二塁となって、1番尾見君も左前打してこの回2点目。追いつかれた直後にこうして、突き放した形は試合展開としても下妻一が大いに優位になった。自身の安打からの得点で、冨澤君は9回も踏ん張ってそのリードをキープして、取って取られてという展開の試合だったが、何とか逃げ切った。

 下妻一の靏見和輝監督は、「心臓がいくつあっても足りないくらいの、ハラハラ~ドキドキの試合展開でした(苦笑)。そうした中でも、選手たちの成長は感じられる試合でした」と、まずは競り合いの試合を何とか勝ちきれたことを喜んでいた。16安打放った打線に関しては、「みんな(コロナで全員そろって練習できない期間があった中で)、バットはよく振ってきていると思いますから、その成果は出たのだと思います」と、厳しい状況下でも地道な努力をしてきたことを評価していた。

 学校創立120年以上の歴史を持つ伝統校の下妻一。茨城県では、シートノックの際には校歌が流されるが、旧制一高の寮歌「ああ玉杯に花うけて」と同旋律の校歌で、校歌が流れてくるとグラウンド全体も何となく厳かな雰囲気になるのも、伝統校ならではのことと言っていいであろうか。その下妻一、悲願の関東大会進出へ、あと一つというところまでたどり着いた。

(取材=手束 仁

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6回に5点目のホームインしてベンチでハイタッチの下妻一・倉持君

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つくば国際・塩田颯君

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つくば国際・下妻一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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