金光大阪vs高田商
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5安打完封勝利の古川温生(金光大阪)の凄みとは?
先発・古川温生(金光大阪)
10月17日、近畿大会の第2試合、金光大阪vs奈良高田商の一戦は金光大阪が2対0で完封勝利し、ベスト8進出を決めた。
この試合は金光大阪のエース・古川 温生の快投に尽きる試合だった。
170センチ69キロと決して上背はあるわけではない。ただ投手としてのセンスが実に素晴らしい。
左足をバランス良く上げてから、着地をする際に膝を折り曲げる動作から着地を行い、内回りのテークバックからリリースに入り、体重移動までの動きがきれいで、お手本というべき投球フォームだ。今、体に秘めている力をしっかりと使い、常時130キロ〜136キロのストレートは回転数が高く、両サイドへしっかりとコントロールができる。
また古川が自信とするのは縦横のスライダーだ。
「カウントが取れるものと空振りを奪うものの2つができるようにしました」と語るように120キロ前後のスライダーが横にも切れ、縦にも落ちて、実に精度が高いものだった。さらに100キロ台のカーブもカウントが取れる。速球、変化球どちらも、決め球、カウントが取れる。引き出しが豊富な投手なので、巧打者が多い高田商打線に狙い球を絞らせなかった。
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最後の打者を三振に打ち取りガッツポーズする古川温生(金光大阪)
リードする捕手で主将の岸本 紘一は古川に全幅の信頼を置く。
「いつも落ち着いているので、古川を見ると、自分も落ち着かないといけないなと感じさせられます。コントロールも良いですし、スライダーが良くなったので、リードがしやすい投手です」
また古川も岸本を信頼している。
「この夏、経験した2年は僕と岸本なので、いつも話していましたし、その時間は本当に長いです。だからあいつが何をリードするのか、どんな球を投げてほしいのかは考えがわかりますし、そのリードも自分の考えどおりなので、自分が投げたいようにできています」
まさに阿吽の呼吸。
リズムの良い投球で、0を積み重ねる。最も警戒していた1番・東口 虎雅に対しては早めのカウントで打たせることを心がけ、ボール気味のチェンジアップでセンターフライに打ち取るなど、冷静な投球ができていた。
そして9回、一死二、三塁のピンチでは、ストレート、スライダーで連続三振を奪い、9回、122球、11奪三振の完封勝利で、準々決勝進出を決めた。
古川は1週間前の決勝戦で大阪桐蔭に敗れ、レベルの違いを実感。ボールの質を高めるとともに終盤でもクオリティーを落とさないためにも、トレーニングを徹底的に行い、最善の準備を進めてきた。
準々決勝までの1週間、意識高く練習を行い、13年ぶりのセンバツ出場実現へさらなる快投を見せる。
(取材=河嶋 宗一)