天理vs滋賀学園
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ハイレベルな熱戦！天理vs滋賀学園は両チームに逸材が満載
勝ち越しの二塁打を打つ戸井零士（天理）
滋賀学園の先発・服部弘太郎は177センチ74キロと均整が取れた体格から常時130キロ中盤の速球、切れのあるスライダーを外角中心に投げ込む。ストレートに近い軌道から打者の手元で曲がるスライダー、カーブを投げ込む。突出としたボールを投げるわけではない。ただ、攻めが単調ではなく、少し曲げたり、ボール球を打たせるなど、技巧派の投球が光る。
一方、天理の大型右腕・南澤佑音も技巧派チックの投球だった。常時130キロ〜136キロ程度で、120キロ前後のスライダー、チェンジアップ系統のボールを丁寧に投げ分ける。ものすごいストレートを投げるわけでもなく、三振が奪える変化球を投げるわけでもない。
ただ、奈良県大会の投球を見ると、結構荒れていたと聞いたので、ここまでテンポ良く、技巧派の投球ができるのは驚きだった。南澤は腕の位置を下げた。本人はサイドのつもりで腕を振って、リリース位置はスリークォーター。これがしっかりとハマり、ストレート、変化球ともにコントロールがよい。
先制したのは天理。二死二塁から5番内藤大翔が左越えの適時二塁打を放ち、1点を先制。内藤はセンバツから活躍をしていた選手だが、攻守で内容が充実している。これまで前チームからの経験者ということで、大きな重圧があった。元Jリーガーの父・就行さんから励ましの一言をもらい、吹っ切れた内藤は実に荒々しいスイングをしていた。
下半身を支点にして、強くスイングすることを心がけている内藤。奈良県大会で守備のミスがあり、自信を失っていたが、この日は安定した守備を見せ、自信を取り戻していた。
8回表にも戸井零士が中越え三塁打を放ち、チャンスを作る。戸井はＵ-12代表経験があり、松原ボーイズ時代から評判だった逸材。さらに内藤の犠飛で2点目を入れる。
しかし9回裏、内野ゴロと滋賀学園の代打・藤田英志の同点本塁打で試合を振り出しに戻す。両翼100メートルの打球を飛ばすことができる代打がいるのだから、滋賀学園の選手層の厚さに驚かされる。
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同点本塁打を放った藤田英志（滋賀学園）
延長10回表、主将の戸井が今度はレフト越えの適時二塁打で勝ち越しに成功。終盤から調子を取り戻した戸井は、新チームから始まってから強いライナーを打ち返すことを心がけた結果、打球にも力強さが出た。
180センチ81キロの大型遊撃手で、下半身を中心にきれいに腰が回って、振り抜くことができる打撃フォームが特徴で、技術的に高度な選手。遊撃守備を見ても深い位置からでも刺せる肩の強さがあり、プロ注目遊撃手と呼ばれるのも理解できる。まだ高校通算5本塁打だが、まだまだ人々を魅了するような遊撃手になりそうだ。
中村監督は「今日はエース・4番・主将の活躍に尽きる試合。この3役が活躍してくれれば、良いゲームになりますし、接戦になる。特に南澤は良かったですね。3位決定戦から少しずつ立て直して、その1週間後の近畿大会突入ということでさらに良くなっていました」と今年の核となる3プレイヤーを称えていた。3位ではあるが、やはり侮れないチームだ。
敗れた滋賀学園は能力の高い選手が多くいたチームだった。その中でも2番で主将の山田一晴は181センチ83キロという今年の滋賀学園では、最も体格がよく、走攻守のバランスが取れた選手で、スクエアスタンスからレベルスイングを心がけ広角に鋭い打球を飛ばしていた。さらに打球に角度がつけば、本塁打を量産できるタイプの選手だ。
4番サードの鈴木蓮も180センチ75キロと体格がよく、スイングも下半身を鋭く回転をさせて、インパクト時に強く押し込んで鋭い打球を飛ばす。この2人は強豪大学関係者が目を光らせる存在になるのではないだろうか。一冬越えてワンランク伸びているか注目したい。
（取材＝河嶋 宗一）
